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そんななかで、私が観光のアドバイスをしている岐阜県ではどうだったか。実は、岐阜県は、平成30年9月に発生した1年半以上に及ぶ「豚コレラ感染」時の危機管理対策の経験が、今回の「新型コロナウイルスの感染拡大」でも活かされ、特に厚生労働省(国)との交渉、独自対策の迅速な実行などに顕著に現れた。

岐阜県での最初の感染者の発生は2月26日、その翌日に発生した2例目は1人目の人の濃厚接触者だった。その後、3月上旬に海外旅行に行った人が17日に3例目の発症者となるまで感染者は出ていなかったのだが、その間、岐阜県の古田肇知事は感染拡大を見越して、厚労省とPCR検査キット獲得などについてのハードな交渉をし続けていたという。

「豚コレラの時の対応から、今回、どうなるかは目に見えていたからね」とは知事の言葉だ。

県独自の予防策を発表


そして3月21日、オリンピック・パラリンピックの延期が決まると、東京都など各地の発症数が急増し、小池百合子都知事なども自粛要請強化に動き始めた。同時に岐阜県の発生件数も一気に伸びて行く。「一気に伸びた」というのは、岐阜県にはその時点で検査キットがそれだけ多く用意されていたということでもある。

クラスター(集団感染)発生という判断、その時点での濃厚接触者のピックアップなど、言うは易しなのだが、組織的な動きが機能していないと対応は簡単ではない。感染経路を明確にし、検査を組織的に促すことで、必然的に一旦は感染者数の増加となるが、迅速に隔離治療することで、結果的にはクラスターの発生を阻止できるのだ。

一方、感染者の増加とともに、県内の旅館、ホテルへのインバウンドはもちろん、国内からの観光客も一気に減少した。県内の旅館、ホテル経営者は相応に悩んでいたが、それでもまだ3月いっぱいは完全休業していなかった。春の地元の祭りまでにはという淡い希望もどこかにあったのだと思う。しかし、現実はそんなに甘くはなかった。

すでにクラスター化も始まっていたので、県民の安全のためには、国の指示を待つのではなく、知事に具体的に示してもらうしかないと観光業者は思い始め、私も知事と何度も話した。私は宿泊者がほとんどいなくなった旅館対策として、当初は経済対策的なことを考えていたのだが、知事からは、これを機に旅館も社会貢献としての役割を考えてみるべきではないかとのアドバイスをいただいた。

一方、ソーシャル・ディスタンシングがまったくできていないこと、換気もままならない古い県庁舎で、すし詰め状態で朝から晩まで仕事をしている県職員こそが危ないと伝えると、翌日の4月3日、知事は「岐阜県民のすべての皆様に」と題したメッセージとして、県独自の感染予防策を発表したのだ。

文=古田菜穂子

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