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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

クオンタムリープ代表取締役会長の出井伸之

新型コロナウイルスの影響で、人との物理的な距離感、コミュニケーションの仕方が変わるなか、「いかに人間関係を育むか」は、この先の大きな論点のひとつだろう。ソニー時代から業界や国境を軽々と超えて人脈を構築してきた出井伸之に、人とのつながり方の極意を聞いた。4月25日発売のフォーブス ジャパン6月号掲載記事から一部抜粋でお届けする。


師となる人が大物かどうかは重要ではない。その時々にふさわしい「言葉」と出会えるか──それが人生を左右する。

出井自身、師をつくろうと気負ったことはないという。ただ、「人を選ばず、すべての縁を大事にしてきた」と強調する。そして、幅広い交友関係の中から、今の自分に必要なメッセージを、自ら探り当ててきた。

世界的指揮者の小澤征爾とは、成城学園中学校で出会った。出井が1年、小澤が3年生のときだ。ラグビー部員だった小澤は体も大きく、圧倒的な先輩だったと出井は振り返る。

小学校3年からバイオリンを習っていた出井は、音楽を通じて小澤と意気投合した。小澤がピアノを担当し、出井ともうひとりがバイオリン、そしてフルートという四重奏団を結成し、学園祭で演奏し、演奏旅行にも出かけた。

「小澤さんは当時、楽譜を全部僕ら四重奏のために書き直し、配ってくれた。僕はその才能を心から尊敬していました」

時が経ち、カルテットを楽しんでいた中学生は、 それぞれタングルウッド音楽祭の音楽監督、そして、ソニーの代表取締役社長になった。出井の社長就任を、小澤は大変喜んだという。


世界的に著名な指揮者の小澤征爾とは、中学時代からの付き合いだ(写真=Getty Images)

「小澤さんは、スイス国際アカデミーをつくったり、 オペラ公演を通じ若い音楽家を教育したりと、自身の経験を活かし、後進を育てる活動をされています。 今、僕がベンチャー育成に取り組んでいるのは、彼の影響でもあるんです」

その言葉通り、彼が創業したクオンタムリープでは、ベンチャー企業の育成支援を行っている。若手起業家らが悩みを抱えては出井を訪れ、そのたびに課題の本質を突き、他の人なら躊躇してしまうような言葉でストレートに伝える。具体的なアドバイスを与えるだけでなく、必要なサポーターも紹介する。

出井の周りには、自らを「出井チルドレン」と称する起業家が後を絶たない。マネックス証券の松本大は、その筆頭だ。松本は、夜間取引など業界として画期的なサービスを展開し、高性能の取引ツ ールや独自開発した証券取引基幹システムを打ち出して金融業界に一石を投じた。また、インフラテック事業やエドテック事業など、最先端のテクノロジーとマーケティングを組み合わせた独自のネットワークサービスを展開するフリービットの石田宏樹も、 出井を慕う一人である。

師となる存在は、実は身近にいることに気づくべ きだと出井は言う。ソニーのロジスティクス部門での修行時代、同僚となった20代の女性たちは、10年近い欧州赴任から戻ったばかりの出井を──(続きはフォーブス ジャパン 2020年6月号でお読みいただけます)。

出井伸之が仕事を超えて学び合う仲間は世界中にいる。本誌では、米元大統領のビル・クリントンから物理学者の江崎玲於奈、音楽家の坂本龍一まで、その華麗なる人脈図を大公開。フォーブス ジャパン2020年6月号は、現在好評発売中! ご購入はこちらから。

 

出井伸之
◎1937年生まれ。60年にソニー入社。欧州での海外事業などを経て、95年社長就任。退任後、06年9月クオンタムリープ設立。大企業変革支援やベンチャー企業の育成支援活動を行う。現在、同社代表取締役会長。

文=谷本有香 写真=小田駿一

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