新型コロナ巡る疑問に回答、米国立衛生研究所がガイドライン公表

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米国立衛生研究所(NIH)のウェブサイトに先ごろ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に関するガイドラインが掲載された。内容はいずれも、逸話や誰かの感情、考え、直感ではなく、科学的証拠を見直した結果に基づくものだ。

ウェブサイトでは、「COVID-19治療ガイドライン」の内容をまとめた識者の氏名も明らかにされている。学会のほか、NIHや生物医学先端研究開発局(BARDA)、疾病対策センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)などの連邦政府機関、米感染症学会(IDSA)をはじめとする専門組織の代表からなるメンバーだ。

ガイドラインに示されていることは、救急救命に携わる医師や、看護師以外にはあまり関連がないと思えるかもしれない。また、一部はすでに、多くの人が知っていると思われるものだ。新型コロナウイルスの感染予防策と治療方法について、それほど多くの新情報を提供しているわけではない。

だが、それでもソーシャルメディア上の正体不明の人物よりも、確実に信頼できるリソースだ。多くの人たちの関心を引くものといえるだろう。

たとえばこのガイドラインには、次のような疑問に対する答えが示されている。

・新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染を予防する薬はある?

今のところはない。委員会によれば、私たちを感染から守ることが科学的に証明されている医薬品やサプリメントはない。

感染を防ぐための最善の方法は依然として、社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)を取ること、身近にある物を消毒し、手を頻繁に、しっかりと洗うことだ。

・感染者と接触した場合、身を守るために自分でできることはある?

答えは「ノー」だ。感染者と接触したと考えられる場合、あなたがすべき唯一のことは、その後に自分が接触したすべての人にそのことを知らせ、「自主隔離」をすることだ。

・無症状だが感染した可能性があると思う場合の治療法は?

これも、今のところはない。

・COVID-19の重症の患者に抗生物質を投与できる?

細菌に感染した場合以外、抗生物質を使うことはない。新型コロナウイルスは、細菌ではなくウイルスだ。たとえCOVID-19で免疫力が低下し、細菌感染の可能性が高まると懸念する場合でも、それを抗生物質で予防できるわけではない。
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編集=木内涼子

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