新型コロナの影響で、米国の医師5人に1人に経済的打撃

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米国では医師の20%以上が、一時帰休を通告されたり、給与を減額されたりしており、新型コロナウイルスの悪影響で医療業界が経済的打撃を大きく受けていることが、新たな分析で明らかになった。

米国各地の病院や医療サービスは、緊急性のない待機手術を中止、または延期している。入院用病床を確保して、新型コロナウイルスに感染して重症化した患者の急増に備えているのだ。それによって打撃を受けているのが、外科医や、特定の専門医だ。

医師派遣会社メリット・ホーキンズ(Merritt Hawkins)と全米医師財団が共同実施した調査では、医師のおよそ5人に1人にあたる21%が、「一時帰休を通告されたり、給与を減額されたりした」と回答した。

2020年4月22日に公表された12ページにわたる調査結果を見ると、そのように回答した医師の数は、「新型コロナウイルスを治療していない医師(30%)のほうが、治療している医師(18%)よりも多かった」

この結果は、全米各地で働く医師840人以上を対象にした調査を分析して得られたものだとメリット・ホーキンズは述べている。同社は、医療関係人材派遣会社AMNヘルスケア(AMN Healthcare)傘下の医師派遣会社だ。 

経済的打撃を受けている医師の多くは、緊急性のない再建手術や整形手術を専門とする外科医だ。担当予定だった手術は、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病床を確保するため、延期されている。

「新型コロナウイルスによって医師は影響を受けている。大きな変化が訪れるだろう」。メリット・ホーキンズのエグゼクティブバイスプレジデント、トラヴィス・シングルトン(Travis Singleton)はそう述べた。「患者による医療機関の利用法や、医師が患者に治療を施す場所や手段が根本的に変わるだろう」

投資家所有の病院経営会社としては全米最大のHCAヘルスケア(HCA Healthcare)が2020年4月21日に公表した2020年第1四半期決算によると、前年2019年の同期と比較すると、同一施設内での入院患者を対象にした手術は1.8%減少、また外来手術は5.9%減少した。

HCAは声明で、「2020年第1四半期最後の2週間で、大半の診療科では患者数が著しく変化した。連邦政府ならびに州政府によって、さまざまな新型コロナウイルス対策が導入されたためだ」と述べている。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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