米電子たばこ大手、フルーツ風味販売中止も総売り上げは変わらず

Photo by Scott Olson/Getty Images


ACS経済・健康政策研究プログラムの上級科学者で同研究の主執筆者であるアレックス・リバーは「企業が自主的に制約を課しても、公衆衛生が改善する可能性は低い」と述べている。「ジュールのフルーツ風味製品からの撤退は、ジュールの競合企業によるフルーツ風味製品の売り上げ増加と、特にミントやメンソールなどジュールの他の風味の売り上げ増加の組み合わせによりすぐに相殺された」

同調査以降ベーピング関連の呼吸器疾患により数十人が死亡し、FDAは今年になってからより厳格な指針を課すようになった。ジュールはたばことメンソール風味の電子たばこ以外を全て禁止したが、ベーピングやベーピング製品に関してはいまだに健康に関する深刻な懸念が存在する。

ヘイズは「ベーピングの健康に対する長期的な影響は分かっていない。私は長期的、そして定期的にベーピング製品を使うことで何年もたつと肺が大きく損傷すると思う。それに加え私たちは、ニコチン依存の若者の間で発達途上の脳に影響が出る可能性があると考えている」と述べた。

こうした新たな規制により、若者の間における売り上げが低下したかどうかを研究者が見極められるようになるまでにはまだしばらく時間がかかるだろう。ただ、ジュールが甘めのフレーバー製品を撤退させた後にたばことメンソール風味の製品の売り上げが伸びたことを考えれば、消費者が他の製品やブランドにまたしも切り替えないという保証はない。

コーバルは次のように述べている。

「米国の現在の電子たばこのフレーバーに関する指針は2020年1月に採用され、メンソールなどの若者が引かれる電子たばこのフレーバーを市場に残すような大きく危険な抜け穴がある。この指針は、新たな世代が喫煙者となるよう陥れ、その数を過去20年近くで最多に押し上げた業界そのものを明らかに優遇している」

ジュールのフルーツ風味ポッドはカナダなどの他の国で購入することができるが、米国では今でも他の多くの企業から甘い風味のニコチン含有液を購入できる。ジュール自体は自社ブランドのポッドへの補充を推奨していないが、多くの人がそのやり方を見つけてきたし、ジュールのシステムと互換性があり自分で補充できるポッドを作っている会社は10社以上存在する。

ベーピング製品や企業には今後、どのような規制をかけていくべきだろうか?

「税制だ」とヘイズ。「若者は価格に特に敏感な利用者集団に入っていて、価格が上がればこうした製品の購入が減るだろう。たばこの販売を21歳以上とする法律を支持し、(規制違反をする小売業者に対しては)実施を強化すること」。またヘイズは、ポッドのサイズとニコチン容量を制限することも分別ある選択肢だと提案し、「ニコチンが5%のジュールのポッドは現在、たばこ30~40本以上のニコチンを含んでいる」と補足した。

翻訳・編集=出田静

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