ビジネス

2020.05.03 17:00

日伊の架け橋となった「伝説の日本人」の生き様に魅せられて #新しい師弟関係

トスカーナでブリケッラ農園を営む宮川秀之

新型コロナウイルスの影響で、人との物理的な距離感、コミュニケーションの仕方が変わるなか、「いかに人間関係を育むか」は、この先の大きな論点のひとつだろう。 4月25日発売のフォーブス ジャパン6月号では「新しい師弟関係」に焦点を当て、全55組の師弟を紹介。本誌掲載記事から一部抜粋でお届けする。


1990年からミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動する安西洋之。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップを考案、ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授が提唱した「意味のイノベーション」の普及活動にも努める。その活動の源泉たる師は、いまから60年前に世界へ飛び出し、日本の自動車界へイタリアンデザインを導入した功績を持つ一人の日本人だ。伝説の人物、宮川秀之について安西が語る。


モバイルクルーズ代表取締役の安西洋之。ベルガンティの著書『突破するデザイン』日本語版の監訳も務めた。

安西:僕がイタリアに来るきっかけをつくった人生の師、それがトスカーナでワイナリーを営む宮川秀之さんです。

宮川さんは、イタリアとの架け橋となった伝説の日本人。イタリア語でオーダーメイドの自動車を作ったり、デザインする工房を示す「カロッツェリア」を日本に紹介するなど、カーデザインを飛躍させた功労者です。

宮川さんは、1960年、オートバイで日本から世界一周の旅に出て、トリノで出会ったイタリア人女性と結婚されました。後にイタリアを代表するカーデザインの鬼才ジョルジェット・ジウジアーロとともに、デザイン会社を創設。ワーゲンのゴルフや、いすゞの117クーペ、ピアッツアなど多く のヒットデザインを生み出しました。

その後は、オーガニックワイン事業に成功。一方で、愛妻の願いどおり、世界各国から養子を迎えて育て上げるという、まさに全包括的人生を謳歌されています。

この「全包括的人生」は、僕の学生時代からの理想とする生き方でした。「ビジネス」「文化」「社会貢献」という3軸を網羅的に満たし、さらに社会を新しい方向に導くコンセプトをつくるという場所を、僕は就職した後も見つけられずにいた。そんなとき、当時いつも相談に乗ってくれていた勤め先の会社役員が、一冊の本を手渡してくれたんです。

「君のやりたいことをやっている人がいるよ」

それが、宮川さんが書かれた『われら地球家族 自動車の街トリノから故国へ』(現在は絶版)でした。


宮川さんの著書は2006年に新版『新・われら地球家族』として刊行されている

それからというもの、彼のもとに何度も手紙や電話でアプローチし続けました。結果、僕は──(続きはフォーブス ジャパン 2020年6月号でお読みいただけます)。

安西の熱意は宮川に届いたのか?そのほか、マネーフォワードCEO辻庸介、マクアケ代表取締役社長の中山亮太郎、作家の辻仁成から政治家野田聖子まで、全55組の師弟関係を一挙公開。フォーブス ジャパン2020年6月号は現在、好評発売中! ご購入はこちらから。



安西洋之◎1958年生まれ。ビジネスプランナー、モバイルクルーズ代表取締役。『イタリアで、福島は。』など著書多数。最新刊は『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか? 世界を魅了する〈意味〉の戦略的デザイン』。

宮川秀之◎1937年生まれ。20代で渡伊、 名門カロッツェリアのイタルデザイン創設に 尽力。1983年にブリケッラ農園を設立。著書に『イタリアンデザイン世界を走る ジウジアーロと共に歩んだ50年』。

文=谷本有香

この記事は 「Forbes JAPAN 6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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