ビジネス

2020.05.06 12:00

マスク対応で注目のサツドラ社長が、飛び込みで教えを乞うた大物経営者 #新しい師弟関係

サツドラホールディングス代表取締役社長の富山浩樹。

新型コロナウイルスの影響で、人との物理的な距離感、コミュニケーションの仕方が変わるなか、「いかに人間関係を育むか」は、この先の大きな論点のひとつだろう。 4月25日発売のフォーブス ジャパン6月号では「新しい師弟関係」に焦点を当て、全55組の師弟を紹介。本誌掲載記事から一部抜粋でお届けする。


マスクの品薄状態が続く中、ドラッグストアの現状をYouTubeで自ら訴え、注目を集めている経営者がいる。北海道の大手ドラッグストアチェーン、サツドラホールディングスを率いる富山浩樹だ。

SNSを活用し、実名で発信し続ける"Twitter民社長”の富山は4月、YouTubeの公式チャンネルで「サツドラから北海道の皆様へ」と題した動画を配信。視聴回数は6万回を超え、大きな反響を呼んでいる。

サツドラは、2016年に日本の小売業で初めて中国の決済サービス「WeChatPay」と提携。17年には「AI TOKYO LAB」「GLIT WORKS」をグループ化し、AI開発などのテクノロジー分野に参入。リアルな小売業が衰退していく中、北海道から最新型経営を行う代表取締役社長の富山浩樹が飛び込みで会いに行き、オーナーマインドを学んだのは高原豪久だ。国内マスク最大手、ユニ・チャームの社長である。

富山:「社長になるなら早い方がいい。先代の社長が経験した苦労はもうできない。でもこれから3〜5年がむしゃらに働けば、彼らにない貴重な経験ができる」。高原さんにそう言われて、僕はマインドチェンジしました。早く社長になって実践経験を積もうと。

いまでは日本でも30代で社長は当たり前ですが、当時は稀有。「早すぎる」「バカ息子」「会社をつぶす気か」との噂が社内外から聞こえました。それでも薬局という立ち位置ではなく、社会のインフラの役目を果たす店へ。いわゆる「チェーンストア理論」で変革を進め、高原さんが30代で社長に就任したときのように、コーポレイトロゴやステートメントをつくり、リブランディングを行いました。

若くして社長になるべきだという高原さんの考えは当たっていました。時代環境の変化は加速度的に速まっています。世の中の動きを体感し、変化を拒むオーナーは会社のリスクを高めてしまう。

これからの小売業はネット対応は必須。なのにAmazonプライムやメルカリで物を売買したことがないのは、消費者と違う国に住んで経営しているのと同じ。怖いことです。

僕は、リアル小売業の経営者としては一番Twitterをやっていると思います。世の中を観察するためです。そこで出会った学生たちや起業したての若者と、定期的に会うよう意識しています。出会ってきた先輩方の人脈も活かし「この話はこの人に聞く」。高原さんが面識のない僕に会ってくれたように、人脈のカードを増やし、情報や知恵に触れています。


フォーブス ジャパン2017年11月号の表紙を飾ったユニ・チャームの高原豪久。翌18年6月号の表紙には、サツドラ富山浩樹が登場する。

そのほか、マネーフォワードCEO辻庸介、マクアケ代表取締役社長の中山亮太郎、作家の辻仁成から政治家野田聖子まで、全55組の師弟関係を一挙公開。フォーブス ジャパン2020年6月号は、現在好評発売中! ご購入はこちらから。



富山浩樹◎1976年生まれ。サツドラホールディングス代表取締役社長。日用品卸売業を経て、2007年に父親が創業したサッポ ロドラッグストアー入社。15年社長就任。

高原豪久◎1961年生まれ。ユニ・チャーム代表取締役社長執行役員。三和銀行を経て、2001年入社。04年より現職。

文=丹由美子、写真=佐々木康

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