ビジネス

2020.06.21

カフェオーナーが愛車ポルシェと引き換えに手にした「3つの競争優位性」

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曽根:クロワッサンにはわざわざフランス産の小麦粉を使っているのですか?

嶋田:はい、フランス産の小麦粉を使っています。通称ゼブ粉と呼んでますが、フランス・ボース産の良質なものです。麦のままフランスから輸入して、日本で製粉しています。店内にある小麦粉の袋には製粉日が書いてありますが、かなり直近の日付だと思いますよ。

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飲食業ではFLコスト(原材料費と人件費)が重視されますが、原材料費の観点からすると、かなりお得な商品かも知れません(笑)。うちはパン専門店ではないので、提供出来ています。とはいえ、もちろんコーヒーは飲まずにパンだけ買いに来ていただくのも歓迎ですよ。美味しいものは美味しいですから。

あと、クロワッサン含め、パン全般はオーストラリアでパンの勉強をしてきたスタッフ、岡本律人(ノリさん)が監修しています。ノリさんは元々パン業界にいたのですが、ZEBRAに来たとき、パンを手でこねているのを見て感動し、ZEBRAの扉を叩いてくれたんです。

曽根:ZEBRAの店内には心地よい音楽が流れています。なにか仕掛けはありますか?

嶋田:音響機器は、HIFIオーディオ、そしてプロダクトがリスペクトされていた時代のものを選んでいます。アンプは1958年製のマッキントッシュ。父親のものを譲ってもらいました。スピーカーはJBLのスタジオモニターです。これも父親に譲ってもらいました。

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音源はアナログのレコードです。レコードのいいところは、1枚1枚スタッフがどのタイミングで流すか考えるプロセスが入ります。それはお店が積極的にコンテンツを選んでいることになります。

実は以前、オンラインの音源から曲を流したことがあります。そのとき、お客様から「いい曲ですね、有線ですか?」と言われました。そのとき、レコードしかないと決めました。褒めてくれたのは、うちのコンテンツではないと気づいたからです。

一つ一つ選んでいる、手作り、かけがえのない、というところに価値があることをきちんと示していく、それがZEBRAなんです。



経営者としてのあと二つの視点(ヒト・カネ)


曽根:よくベンチャー企業では「最初の一人が重要」なんて話を聞きますが、スタッフの採用はどのようにしてますか?

嶋田:採用一人目は、家具デザインの会社にいたとき、家具の販売をしていた人なんです。一緒に納品をしてたりしたのですが、人当たりの良さを感じていました。それまでは夫婦二人でやっていたのですが、さすがに回らなくなってきて、彼をスカウトしました。わざわざ引っ越しもしてもらいました。

その次は、お店に募集を出しました。応募してきたのは、近くに住んでる人でした。手前味噌ですが、とてもいいスタッフが加入してくれました。そのとき、本当にどこでも心配なく採用できると思いました。

基本的に、スタッフにはお客さんが応募してくれています。ある意味、価値共有(Shared Value)が出来ている状態の方が来るのは非常に大きいと思います。
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文=曽根康司 写真=嶋田耕介 編集=石井節子

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