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カフェもソフトウエア、コンテンツの時代


曽根:デザイナーとして店舗経営を見たときに共通点を見い出すことはありましたか?

嶋田:かつて、自動車メーカーのクルマのデザインにかける意気込みは相当なものでしたが、今は、自動運転やカーナビ、オーディオ、空調への意気込みのほうが強いように思います。そして、家計の自動車関連の支出項目は、携帯電話にシフトしていきました。

1990年代から2000年代中盤までは携帯電話のデザインも隆盛を極めたと思います。そして、2007年にアップルのiPhoneが発表され、2008年からは日本国内での販売がはじまりました。携帯電話本体の「デザイン勝負」から、完全に、内蔵される「ソフトウエアの勝負」に変わってしまいました。個人的にもプロダクトデザインのある種の限界を感じた契機だったように思います。

カフェはどうでしょうか。すでにお話したように「箱」としてのデザインには当然力を入れてますが、携帯電話の歴史をアナロジー的に捉えるなら、カフェもソフトウエア(コンテンツ)の時代に突入していると思っています。

ちなみにZEBRAでは有料の広告というものを一切やっていません。広告を出すと実験と検証ができなくなるからです。満足度調査もしていません。お客様が一人来て、また来店くださる。また誰かを連れてくてくださる。店内のお客様が帰りにパンを買って帰る。それだけ分かれば十分でしょう。

焙煎の「薫製臭」はワインの樽香と同じ


曽根:コーヒー豆へのコダワリを教えてください。

嶋田:ZEBRA津久井本店をオープンしたのは2012年4月です。それから、仕入れている豆の品種、農園も変わっていません。僕がテイスティングして、味が尖がり過ぎているとか、特徴がありすぎる豆は使わないようにしました。お店を普段使いしていただきたいですし、ZEBRAは豆の飲み比べをする場ではないと思っているので。

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でも、豆選びと焙煎には、当然コダワリがあります。

豆の評価軸ですが、コーヒー豆はコーヒーチェリーというだけあってフルーティーさがあります。それが一軸。もう一軸はオイルを感じる度合い(ナッツ感)です。その二軸でマトリックスを作りました。そこに焙煎度合いが掛け算で入ります。

焙煎ですが、スモーク臭を付けないようにしています。スモークすると結構美味しいのですが、なんでも同じ味になってしまいます。燻製をイメージしてみてください。同じ味というか、味が中央に寄ってくるんですよね。ワイン製造でも樽香を嫌ってステンレスで醸造するケースが多くなってきたのも似たような思想かなと思っています。

豆の仕入先ですが、商社の「兼松」から買っています。当時、一見のお客さんに売ってくれる取引先は少なかったんです。そのうち、仕入れ量が増えてきたので、兼松さんがZEBRAに来られたのですが、お店に来た瞬間に、なぜ仕入れ量が増えたのか、分かったそうです。そして、展示会を一緒にやらないかと持ちかけられたんです。SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)のカンファレンスにブースを出しました。もう4回やっています。その頃から、さらなる独自性の打ち出しが出来てきた記憶があります。

文=曽根康司 写真=嶋田耕介 編集=石井節子

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