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スウェーデン ストックホルムのレストラン。4月25日土曜日夜の様子(Shutterstock)

「都市封鎖せず」と独自路線のソフト対策を貫くスウェーデンの新型コロナウイルス対応が、世界的に話題だ。しかし、同国の「部分的ロックダウン」の真実、その実態とはいったいどんなものなのか?

スウェーデン・カロリンスカ大学病院・泌尿器外科勤務の医師で日本泌尿器科学会専門医の宮川絢子博士(スウェーデン移住は2007年)に、スウェーデン語文学翻訳者、エッセイスト、久山葉子氏(同2010年)がインタビューした。


1. スウェーデンの「部分的ロックダウン」の実態


各国が次々と国境を閉鎖、外出禁止、義務教育を休校にするなどの厳しい措置を取る中、“緩め”の独自路線を貫くスウェーデン。

3月17日に高校・大学・成人学校は閉鎖してオンライン授業に切り替えるよう要請があったものの、保育園・小学校・中学校はまだ平常どおり授業が行われている。

現在法律で禁止されているのは「高齢者施設の訪問」と「50人以上の集会」だけで、それ以外の「屋内外で他の人と距離を開けること」「パーティーや冠婚葬祭など人を多く集める機会を作らないこと」「スポーツ施設では更衣室で着替えないこと」「不要不急の旅行は避けること」は行政指導としての勧告にとどまっている。

日常生活では、お年寄り(70歳以上)には会わないようにする、少しでも体調がおかしかったら会社や学校には行ってはいけない、などが徹底されている。また、なるべくリモートワークで仕事をするようにも言われている。しかし散歩などの外出は健康のためにむしろ奨励されているし、店やレストランも営業している。テイクアウトをする人は増加したが、他の人との距離が近すぎないかぎりレストラン内で食事することもできる。

その結果、4月28日現在、死亡者数は2355人のスウェーデン。この統計によれば、100万人あたりの死亡者数で世界ワースト6位。このような緩い政策で、果たして大丈夫なのだろうか。世界中から懸念の声が聞こえてくる。アメリカのトランプ大統領にも名指しで批判され、インターネット上のニュースでは「スウェーデン死者急増」「ロックダウン検討開始」といった不穏な見出しが躍る。

2. スウェーデンの感染者数と死者数を理解する上で知っておくべきこと


久山:4月には発表された一日の死亡者数が100人を超え、それがセンセーショナルな形で世界中に報道されました。例えば4月21日には185名という死亡者数が発表されていますが、実はその2日前、19日の死亡者数はわずか29人です。

宮川:スウェーデンでは週末や連休の間はシステムの中で死亡情報がすぐに上がってこない仕組みになっています。なので、休み明けに数字が集中するということを考慮しなくてはいけませんね。19日は日曜日で、21日は火曜日でした。またスウェーデンは10日~13日がイースターの連休で、その頃のデータが徐々に入ってきたようです。

久山:実際に死亡日別に集計すると、この図のようになります。これは4月28日のものですが、紫の部分が前日までに発表されていた死亡者数です。そしてこの日新しく追加になったのが90人。それが青い部分に当たります。何日も前に遡って追加されているのがわかりますね。

スウェーデンの日毎の死亡者数(5月4日政府合同記者会見より)



黒線は7日間平均値

文=宮川絢子・久山葉子 (編集=石井節子)

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