このプロジェクトは9ヶ月間に渡り、ベイエリアにおけるパンデミックの動向を探るもので、カリフォルニア大学サンフランシスコ校やスタンフォード大学と共同で実施される。さらに、CZIから派生したNPO団体のチャン・ザッカーバーグ・バイオハブ(Biohub)も参加する。Biohubは全ての疫病を根絶すること目指している。
「ベイエリアの経済を再開し、医療従事者の安全を確保するためには、パンデミックのメカニズムを正しく把握することが必要だ」と、CZIの共同設立者であるプリシラ・チャンは述べた。
「全人口のうちどれほどの人々が既に感染したのか? 感染拡大のスピードはどの程度なのか? 今後もリスクにさらされるのはどのようなグループなのか? これらの疑問に応えるためには、検査を繰り返していくしかない。私たちのチームはカリフォルニア州における厳格な検査にフォーカスする」
今回のプロジェクトには2つの長期間の研究が含まれる。その1つは、ベイエリアに特化したサンプル調査で、感染拡大率を低く抑えながら、経済を再開させる方法をさぐっていく。ワクチンが開発されるのは、最も楽観的な予想でも2021年の夏とされており、出来るだけ早期に経済を再開させることは重要だ。
もう一つのミッションは、医療従事者の安全確保のため、新型コロナウイルスの免疫メカニズムを把握することだ。感染した人の体内に抗体が作られた場合、再感染は防げるのか? 防げるとしたら、それはいつまで有効なのか?
CZIはこれまで総額で5600万ドルを、新型コロナウイルスとの戦いに寄付している。ビル・ゲイツのアクセラレータプログラムには2500万ドルを注ぎ、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究ラボには400万ドルを寄付した。
ザッカーバーグ夫妻はさらに、ここ数週間で複数の専門家たちを、フェイスブック・ライブの番組でインタビューしており、米政府の新型コロナウイルス対策を主導する、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長にも話を聞いていた。
フェイスブックは2016年の米国大統領選挙以降、個人情報の取り扱いで失態を重ね、企業としての信頼を大きく損なった。しかし、ザッカーバーグは今回のパンデミックへの対応で、再び人々の支持を取り戻そうとしている。
フェイスブックの取締役会からは、ここ最近、主要メンバーの離脱が相次いでいる。アメリカン・エキスプレス元CEOのケネス・シュノールトや、オバマ政権で国家経済会議(NEC)委員長を務めたジェフリー・ザイエンツらは、パンデミックの発生後に取締役の辞任をアナウンスし、5月に現職を離れることになっている。