米国の新型コロナ死者、報告数を大幅に上回る可能性

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新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、次々と報告されるデータには、必ずしも一貫性があるわけではない。特に、死亡率についてはその傾向がある。

たとえば、英国では病院で死亡する前にすでに検査で陽性と判断されていた人のみが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死者としてカウントされている。そのため、COVID-19が原死因として報告される死者数と、新型コロナウイルスが死亡の寄与因子であったとみられる死者の数は一致していない。

こうした状況のなか、実際の死亡率を特定するため、多くの研究者によって各国の「超過死亡」に関する調査が始められている。超過死亡とは、例年の同じ時期と比較した場合、死者数がどれだけ増えているかを示す数値だ。

英紙フィナンシャル・タイムズは先ごろ、イタリア北部ロンバルディア州のベルガモ県の2020年3月と4月の死者が、2015~19年の同時期の死者数の平均から463%増加していたことが分かったとする調査結果を公表した。同様に、スペインのマドリードでは161%の増加を記録していたという。

また、米紙ワシントン・ポストの委託でエール大学公衆衛生大学院が実施した調査によると、米国の3月1日~4月4日の超過死亡数は、およそ1万5400人だった。この間に公式の集計結果として発表されていた死者数は、8128人(超過死亡数の53%)。COVID-19の流行による実際の死者数は、報告数を相当に上回っていた可能性があることを示唆している。

この調査では、感染者数が特に多いニューヨーク市と、その他の州に関するデータの分析も行われた。ニューヨーク市ではこの間、COVID-19による死者として公式に発表されたのは2543人。これは、同市のこの間の超過死亡数(6300人)の40%に当たる数値だ。

同様に死者数が多かったニュージャージー州のこの間の超過死亡数は、2200人。公式に発表されている同州のCOVID-19による死者は846人で、超過死亡数の38%だった。一方、ミシガン州は、COVID-19による死者が540人で、超過死亡数の700人に占める割合は77%だった。

超過死亡数に占めるCOVID-19による死者の割合(2020年3月1~4月4日)

・超過死亡数=例年の同時期の死者数との差(COVID-19が死因と特定されていない死者を含む)
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*ニューヨーク市を除く
出処:エール大学公衆衛生大学院、ワシントン・ポスト紙

編集=木内涼子

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