経営者の思想こそが、採用ブランディング成功の秘訣


また、よく「らしさ」という言葉で説明されることもあるが、さらに「約束」という捉え方をすることもある。

「あの会社だからこそ、ああいったサービスをしてくれる」「あの人にこの仕事を頼んだら、きっとこう返ってくるだろう」という、今までのコミュニケーションや実績こそがステークホルダーとの”約束”をつくる、と考えるとイメージがしやすいのではないだろうか?

さらに、この考え方を踏まえた上で「ブランディングとは何か?」を考えていく。英訳して考えると「Brand + ing」となるが、このingが肝である。

ingは中学英語で習うように「継続」を意味する言葉であることを考えると、上記の「Brand(らしさ・約束)」を継続することというように捉えることができる。そのため、「企業のらしさを貫き続けること」「企業の約束を守り続けること」といったようなイメージで“ブランディング”という言葉を理解していくことが、概念理解としては分かりやすいのではないだろうか。

(※あくまで筆者の中での言葉の捉え方であることを再掲しておく。人によって解釈が異なるものの、言葉の意味合いは似たものになることが多いので、その点は安心してほしい)

採用ブランディングは「企業の思想を候補者へ伝えること」


それでは、改めて採用ブランディングについて考えてみよう。

「採用+ブランディング」であることから分かるように、「採用フローにおいて候補者とのコミュニケーション接点で企業ブランドを一貫して伝えること」であると言える。

さらに噛み砕くと「広報・説明会・選考など、あらゆるタッチポイントで企業の思想やカルチャーを伝えること」とも説明できる。

例えば、単に「給与がいい」「福利厚生が充実している」といった広報だけでは企業の思想は伝わらない。

もちろん労働条件も大切なのだが、それだけでは「より良い待遇の企業」へその候補者はのちのち転職してしまう可能性がある。

恋愛で例えれば肩書きや年収目当てで付き合っているような状態に近く、価値観で繋がっているとは言えないような状況と構造は同じだ(もちろんそれでも構わない、という価値観でお互いが納得できているのであればそれも1つの形ではある)。

そのため、「なぜこれだけ給与が高いのか?」というところから見えるビジネスモデルの強さや、なぜそのビジネスを始めようと考えたのか?といった“自社だからこその考え方”も織り交ぜて伝えることをして、初めてブランディングと呼ぶことができる。
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文=山口達也

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