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2020.04.29

【緊急調査】新型コロナウイルスの拡大による、スタートアップの資金調達への影響は?


各VCによる新規ファンド設立、コロナ危機の乗り越えを支援


新型コロナウイルスの感染拡大を受け、VCの業界団体である日本ベンチャーキャピタル協会は、スタートアップの支援を求める要望を政府に提出した。

スタートアップに特化した資金繰り対策や、新型コロナウイルスの治療や終息後の社会に貢献する企業への支援を求めるなど、経済や企業への打撃を考慮し、支援に動き出そうとしている。

日本経済新聞が計30社のVCやCVCに対して実施したアンケートによると、現時点では新型コロナウイルス拡大の影響を考慮しつつも、積極的な投資方針を採ると答えたVCが8割を占める結果となった。

理由として、ファンドの資金集めをすでに終えていることや、株価を下げて資金調達する企業が増えると予想されるので、投資に割安感があることが挙げられた。

各VCが直近で新たに設立したファンドをまとめた。

ピックアップ


・Coral Capital


新型コロナウイルスの影響が広がる中、機関投資家を中心に資金を調達し、既存投資先へのフォローオン投資に特化したグロースファンドを組成。4月までに27億円の調達に成功。

また、1社あたりの投資額の上限を数億円から15億円まで拡大する方針だ。

・エムスリー


医療分野のスタートアップに投資するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドの運用を本格的に開始。出資総額は100億円に及ぶ。

・みずほ銀行 × みずほキャピタル


総額50億円規模の、ライフサイエンス分野の投資に特化したベンチャー投資ファンド「みずほライフサイエンス1号ファンド」を設立。

・グローバル・ブレイン


エプソングループと共同で「EP-GB投資事業有限責任組合」を、ヤマトホールディングスと共同で「KURONEKO Innovation Fund」を設立。それぞれ50億円規模のファンドで、有望なスタートアップ企業を支援していく方針だ。

・グロービス・キャピタル・パートナーズ


5号ファンド(2016年設立、160億円)の既存投資先に対して、コロナ危機を乗り越え、さらに事業拡大を進められるための追加投資を行う5号Sファンドを設立。今年5月に募集上限の40億円で最終募集を完了する予定である。

・iSGSインベストメントワークス


新型コロナウイルスの拡大に伴う、医療・社会へのネガティブな影響に対抗し、改善可能性のあるサービスを提供するスタートアップを対象とした投資プログラムを4月1日より開始。迅速な投資意決定と投資実行、さらにサービスの開始と成長に向けた様々な経営支援を行う方針だ。

先行きが不透明になり、経済成長が鈍化している中でも、各VCや事業投資会社は、新たにファンドを設立し、既存・新規投資先に対して支援拡大を行っている。
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文=STARTUP DB

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