外国人が選ぶ2010年代傑作日本アニメ10選 。『ちはやふる』も


2011年


『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(A-1 Pictures)


悲しみで引き裂かれた幼馴染みの仲間たちの物語。仲間のひとりの「めんま」が幼い頃の事故で亡くなったことをきっかけに疎遠になっていたが、心ならずもふたたび顔を合わせ、「めんま」が投げかけた謎を解いていく。脚本を担当した岡田麿里を一躍有名にしたこの作品は、仲間の死を越えてなおも続く友情の絆を描いた、涙させずにはおかない感動物語だ。

『ちはやふる』(マッドハウス)


高校生の綾瀬千早は、モデル並みの美人でありながら日本古来の競技かるたに夜も日も明けずのめり込んでいるせいで「無駄美人」と呼ばれている。激しいスポーツである競争かるたをメインに据えたテンポの速いドラマには、欧米のアニメファンもすぐに時間を忘れるはずだ。長く待たされたが、シリーズ最終作となる第3期の『ちはやふる3』が2020年3月まで放送された。

『日常』(京都アニメーション)




不条理に満ちた「日常」をテーマにした、一風変わったコメディ。一見、三人の女子高校生の話のように見えるが、ありきたりな日常に起きる奇想天外な出来事が次々と描かれる。

天才少女の「はかせ」と、彼女が作ったお菓子内蔵のロボット、ヤギに乗って登下校するイケメンの先輩といった奇妙なキャラクターが続々とシュールな騒動を引き起こし、主人公たちを巻き込んでいく。どんなにバカバカしいことが起こっても、何とか対処しなければならない女子高生たちのリアルな悪戦苦闘ぶりに、観る側も知らず知らずのめり込んでしまう。

『TIGER & BUNNY』(サンライズ)




特殊能力を持つスーパーヒーローが存在するこの世界では、彼らはさまざまな(実在する)企業の広告で飾り立てた「ヒーロースーツ」をまとって悪と戦い、その模様が実況中継されてスポットライトを浴びる。リアリティ番組的なこの世界は、ひょんなことからシングルファーザーのワイルドタイガーこと虎徹と若いバーナビー・ブルックスJr.がチームを組んだことで動き始める。スーパーヒーローものへのラブレターとも言える本作は、2010年代のスーパーヒーローもののメガヒットシリーズ『アベンジャーズ』を見飽きた目には新鮮に映る。

『放浪息子』(AIC Classic)


「トランスジェンダー」をテーマにしたヒット作。自分のジェンダーに疑問を抱くようになったふたりの小学生のほろ苦いストーリーを、水彩画のような繊細なタッチで優しく描く。共感と優しさに包まれたこの物語は、男として、女として普通に成長することの息苦しさを描写し、トランスジェンダーへの理解を広げようとしているが、それでいて説教臭いところは微塵もない。教訓的ではあるが、登場人物に重きを置いているので面白味は損なわれていない。

(今回は選ばれなかったが、2011年ではこの作品にも注目だ。『未来日記』(アスリード)『魔法少女まどか☆マギカ』(シャフト)『輪るピングドラム』(ブレインズ・ベース)『NO.6』(ボンズ))『LAST EXILE』(GONZO DIGIMATION))

黒木章人/S.K.Y.パブリッシング

ForbesBrandVoice

人気記事