ビジネス

2020.04.29

「IT業界はチャラテック」 揶揄されても、人生の師匠として選んだ理由 #新しい師弟関係

新型コロナウイルスの影響で、人との物理的な距離感、コミュニケーションの仕方が変わるなか、「いかに人間関係を育むか」は、この先の大きな論点のひとつだろう。 4月25日発売のフォーブス ジャパン6月号では「新しい師弟関係」に焦点を当て、全55組の師弟を紹介。本誌掲載記事から一部抜粋でお届けする。


「普通に生きていたら絶対に交差しない」。

ヤフーからビジネス特化型SNSのリンクトインに転職し、IT業界の最前線を走り続ける村上臣は対談の最初にそう話した。村上の師匠は研究をこよなく愛するリバネス代表取締役グループCEOの丸幸弘。

最先端のディープテック研究者である丸が“チャラテック”と揶揄する村上、そんな2人の関係から、未来の働き方が見えてくる。

村上:丸さんに初めて会ったのはたしか2008年頃。僕の周りには全然いなかったタイプで、衝撃を受けました。 

数年単位でのユーザー数増大や利益創出を目指している僕と、向こう100年の世界を考えている研究者の丸さん。お互いが好きなことしか話さないから、話が全然噛み合わない。でもなぜか気があったので、定期的に会うようになりました。 

:あの頃の僕はIT野郎が大っ嫌いでした。ちょうどiPhoneかが日本に発売される前で、カガラケーしか持っていない僕はスマホによって世界が変わると言われても、信じられなかった。数十年単位で蓄積してきた研究が日の目を見て世界が変わると思っていたので、なぜスマホかが1兆円になるんだろうと。村上さんの世界は、新しい発見でした。転職の時も、正直驚きました。

村上:僕がリンクトインに移ったのは、 終身雇用に代表される日本の社会システムに歪みが出てきて、これからは仕事をするためのネットワークがより重要になると思ったからです。不幸なことに、日本では年間自殺者数が2万人近くにのぼり、過労死が世界共通語になっています。僕は個人が過度に会社に縛られていることを問題視しています。

:それなら会社の概念を作りかえればいい。研究者はというのは「当たり前」を疑うんです──(続きはフォーブス ジャパン 2020年6月号でお読みいただけます)。

丸はどのように会社の概念を作り変えたのか。そのほか、マネーフォワードCEO辻庸介、マクアケ代表取締役社長の中山亮太郎、作家の辻仁成から政治家野田聖子まで、全55組の師弟関係を一挙公開。フォーブス ジャパン2020年6月号は現在、好評発売中!ご購入はこちらから。



村上 臣◎リンクトイン日本代表。1977年生まれ。大学在学中に立ち上げた会社の合併に伴い、2000年ヤフー入社。一度退職後、12年からヤフーの執行役員兼CMO就任。17年から現職。

丸 幸弘◎リバネス代表取締役グループCEO。1978年生まれ。東京大学大学院 農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了、博士(農学)。大学院在学中にリバネスを設立。ユーグレナなど多数のベンチャー企業の立ち上げにも携わる。

文=井土亜梨沙、写真=平岩享

この記事は 「Forbes JAPAN 6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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