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2020.04.28 17:35

「家に居ろ」が通用しない。新型コロナに悩む歌舞伎町の現実


0か100かで考えることは、我々にとっては、2次被害を大きく生むことになるように思う。濃厚接触を0にすることは、現実的に無理であって、如何に軽減させるか?をマクロで考えた方が良い。接触を8割減らそうとすると、逆にほとんど減らない結果になってしまう我が業界のような世界では、現実的に最も接触を減らせるのはどういうやり方なのか、を考えることが重要なのだ。

我々は、「清潔」と「教育と管理」というテーマで考える。

そもそも感染症という見えない敵に対しての正しい知識を身に着けることがスタートだ。自らを清潔に保ち、極力接触は生まないことを前提に、どうやってより害の少ない「新しい接触」を作るかだろう。

体調管理の徹底、お店に入る時の全身消毒、そして無自覚保菌者による感染を防ぐための、飛沫非拡散の徹底。

そして何より、接触した人間の情報をしっかり持つこと。

衛生に力を入れ、3密を作らない状況を作って営業をするようなスタイルを提案していく。

接客する人間の人数を最小限にし、何平米に何人までと決める。

そしてホスト一人一人を商品と考え、健康状態を詳しくチェックし、店以外での行動も申告させ、濃厚接触した人数を明記して、徹底した管理をする。

とにかく清潔でいること、正しい知識を身に着けること。

こうしたことも、自宅待機の空しい呼びかけでは従業員たちには届かない。輪番で彼らを店に来させることで、初めて彼らに情報を届ける可能性が生まれるのだ。つまり、単にハームリダクションするだけでなく、正しい知識を伝えて正しく振る舞ってもらうという、根本的な目標にも近づくことができる。

歌舞伎町
Getty Images

変わらなければいけないのは私たち


家がすべての人にとっての安息の地であるわけではない。今回のことで改めて光が当てられたDV被害者はその象徴だ。しかし、歌舞伎町にいる人びとを見てみると、同じ問題はDVに限らないことが分かる。

「家にいることが安心」とは思えない人びとには、本当にたくさんの種類がある。そして歌舞伎町は常にそういうバラエティ豊かな人びとにとっての本当に重要な場所のひとつであり続けてきたのだ。

その人たちにとって、家よりも大事な、安心できる場所がこの街にはある。

これこそが我々が大事にしてきた価値だ。その自分達が大事にしてきた価値を、広く認められる「価値」にする為には、我々が変わらなければいけない。

何よりも教育、そして給料格差、問題は山積みだ。一つ一つ丁寧に改善していくしかない。まずは目の前のハーム、害悪を軽減するところからだ。

「どうせ俺たちは日陰者さ」とうそぶくのではなく、社会の一部として生きていけるように、私はあきらめずに模索していく。

文=手塚マキ

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