スタンフォード大学、コロナ流行で勧誘行事をバーチャル化

Stanislau Palaukou / Shutterstock.com

米国では、各大学が新入生の獲得に向け激しい競争を繰り広げる中、入学資格を得た出願者を週末の数日間にわたりキャンパスに招く「アドミット・ウィークエンド」と呼ばれる行事が、非常に重要な役割を果たすようになっていた。この行事では、先輩学生の連れ添いの下、教室の見学や、学生寮への宿泊、各種活動説明会への参加、教職員との面談、障害者支援制度や、学習課題、学資援助制度、就職支援の説明、そしてもちろん学生寮の食事やパーティーといった名門校のキャンパスライフを体験できる。

入学決定の締め切りが5月1日に迫る中(ただ、多くの大学は締め切りを6月1日に延期している)、スタンフォード大学は「バーチャル・アドミット・ウィークエンド」という、いかにも同校らしい解決策を打ち出した。イベントの多くは4月25日に開催され、オンラインチャット、ビデオ配信、オンラインセミナーなどが行われた。

1人数十万ドル(数千万円)の学費を払う学生を集めようと各大学が凌ぎを削る中で、アドミット・ウィークエンドは各大学にとって、入学資格を得た高校生の気持ちを高め、今後4年間を過ごし、その後の人生を決める場所の様子を確かめる機会となってきた。アドミット・ウィークエンドは、重大な決断を下すための重大なイベントになっていたのだ。

しかし新型コロナウイルスの影響により、この伝統は変更を強いられた。名門校はそろって3月に開催予定だったアドミット・ウィークエンドを中止し、入学希望者に好印象を与えるための最後の(そして時に最高の)機会を失った。

自分に最も合った大学を選ぶ上でのアドミット・ウィークエンドの重要性には、疑問の声も上がっている。現役学生でさえも、このイベントは実際の体験を表面的に見せるショーにすぎないと指摘してきた。筆者も以前の記事で、さまざまな学校を同一条件で比較している「コモン・データ・セット(CDS)」の方が、知名度が低いながらもより良い指針となるだろうと書いたことがある。
次ページ > 校風を知る機会の喪失

編集=遠藤宗生

ForbesBrandVoice

人気記事