MIT出身の女性2人が起業のBiobot、新型コロナ対策を下水分析で支援

下水処理場(Kekyalyaynen / Shutterstock.com)

メキシコの首都メキシコシティの経済的に恵まれない地域で育ったマリアナ・マトゥスは、医療サービスへのアクセスがないことの意味を、身をもって学んできたという。それが、彼女が2017年にバイオボット・アナリティクス(Biobot Analytics)を共同創業するきっかけとなったテクノロジーの開発につながった。

バイオボットのテクノロジーを使って下水に関するデータを分析すれば、周辺地域の住民が潜在的に持つ健康上の問題に関する情報を、容易に見つけ出すことができる。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)のなか、先ごろ420万ドル(約4億5100万円)を調達したバイオボットは、住民の糞便に含まれるウイルスを調べることで、地方自治体が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者数を割り出すための支援を行っている。

下水を分析するメリットの1つは、経済的な理由で医療サービスを受けられない、またはその他の理由で医師の診察を受けたがらない人たちの存在を見逃してしまうリスクを減らせることだ。

マサチューセッツ工科大学(MIT)で同じ研究プロジェクトに携わっていたニューシャ・ゲーリーと共同でバイオボットを設立したマトゥスは、「下水には、すべての人々を考慮に入れ、その人たちすべての声を聞き取る力がある」と語る。同社のデータセットにその人たちの声を取り入れるために必要なのは、「トイレを使ってもらうことだけ」だという。

マトゥスとゲーリーはもともと、米国内でのまん延が指摘されていたオピオイド鎮痛剤の使用について、公衆衛生当局に早期に警告するためのシステムを開発することを目指していた。下水に含まれるオピオイドに関連のあるデータを分析するテクノロジーの開発を進めていたという。

ヒトの糞便物質や尿には、代謝産物やウイルス、細菌が含まれている。それらはトイレから排水とともに処理施設まで運ばれる。バイオボットはその施設で処理前の下水を分析することで、地域の人々の健康状態を調べることができる。
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編集=木内涼子

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