MIT出身の女性2人が起業のBiobot、新型コロナ対策を下水分析で支援

下水処理場(Kekyalyaynen / Shutterstock.com)


同社が行った分析の結果から、住民が服用している薬、食べているもの、かかっている可能性がある感染症などを明らかにすることが可能だ。COVID-19にかかっていれば、患者の糞便には新型コロナウイルスが含まれる。

バイオボットが開発した方法で下水サンプルを分析し、データを処理するには現在、およそ5日が必要だ。だが、同社は今後、そのモデルの精度をさらに上げていくことを目指している。

下水を利用する疫学調査は、米国では比較的新しい分野であり、この分野の専門知識を持つ大学は、まだわずかしかない(MITはその一つ)。研究がさらに進んでいる欧州では、地域全体で研究を行うネットワークがすでに構築されており、下水に含まれる薬物について、2010年から分析が行われている。

オランダのユトレヒト州アメルスフォールト市ではCOVID-19の患者が確認されるよりも前に、KWR水循環研究所(KWR Water Research Institute)のチームが下水に含まれる新型コロナウイルスを発見していた。

マトゥスによれば、米国内には州や郡、市、民間企業が運営する下水処理場が1万カ所近くある。バイオボットは調達した資金で、まずは可能な限り数多くの処理場から下水のサンプルを入手し、調査できるようにしたい考えだ。

現在は約150カ所の下水処理施設を対象に分析を行っているが、ゲーリーは、「できる限り多くの市民を対象とした調査にするため、数千カ所にまで増やしたい」と述べている。それも、できる限り迅速にそれを実現したいという。

分析によって得られるデータは、コミュニティーの封鎖をいかに安全に解除するかについて、リーダーたちが決断を下す際に役立つものとなるからだ。

編集=木内涼子

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