テクノロジー

2020.04.28 05:30

中国の病院の「コロナ検査データ」をハッカーが強奪し転売

Photo by Feature China/Barcroft Media via Getty Images

CTスキャンで撮影した肺の画像が、新型コロナウイルス感染症の早期発見に役立つかどうかについては議論が分かれている。米CDC(疾病対策センター)や米国放射線学会は、新型コロナウイルス肺炎に対するCT検査については、慎重な対応を行うよう呼びかけている。

一方で、中国広東省の恵州市に本拠を置く医療系テクノロジー企業「Huiying Medical(汇医慧影)」はインテルのAI(人工知能)を活用した、画像分析ソリューションを医療現場の最前線に送り込んでいる。

Huiying Medicalによると、数千枚に及ぶ新型コロナウイルスの感染者の画像を分析することで、AIアルゴリズムを磨き上げ、96%の精度で新型コロナウイルスの感染を確認可能になったという。

インテルは先月の声明で次のように述べた。「ウイルスとの戦いにおいて、ヘルスケア業界がAI技術を導入することは極めて重要だ。インテルのAI Buildersプログラムは、Huiying Medicalの新たなテクノロジーを医療現場に役立てようとする姿勢を、高く評価する」

そのHuiying Medicalがハッカーの攻撃に遭い、新型コロナウイルスの検査や実験に関わるデータを盗み出された模様だ。

セキュリティ企業Cybleは4月25日、ハッカーらがHuiying Medicalが開発した新型コロナウイルスの探知プログラムのソースコードや、実験データに違法にアクセスしたと発表した。このハッカー集団は「THE0TIME」というハンドルネームでデータを販売しており、価格は4ビットコイン(約320万円)だという。

データには個人情報やテクノロジーのソースコード、実験に関するレポートが含まれている。Cybleは筆者の取材に、ハッカーが入手したデータが本物であることを確認したと述べた。

Huiying Medicalが開発した画像解析テクノロジーは、各病院に月額5万ドル程度で提供されている。同社によると、中国には2カ月近くに及ぶデータの蓄積があり、これらのデータを活用することで、AIを用いた感染予防や感染拡大のコントロールが可能になるという。

ハッカー集団によってデータが奪われ、売りに出されたことで、貴重なデータが外部の何者かに利用される可能性が出てきたことになる。さらに、中国以外の科学者らが、感染拡大の最前線から得られた豊富なデータの検証を行うことになるかもしれない。

この件に関しては、新たな情報が入手でき次第、記事のアップデートを行う予定だ。

編集=上田裕資

タグ:

連載

新型コロナウイルス特集

ForbesBrandVoice

人気記事