負の感情に支配させない、3ステップのセルフマネジメント

sun ok / shutterstock.com


前置きが長くなったが、先が見えない混沌としたいまの状況の中で、自分自身を整え前向きにいきていくためにまず必要になるポイントは、以下の3つだ。

1. 自分に起きていること(自分が今、何をどのように感じているか)を把握すること
2. その体験(自分に起きていること)を、抵抗せずに受け入れること
3. 自分の周りにある「良いこと・うまくいっていること」に意識を向けること

いま起きていること(外出自粛、他国のロックダウンなど)やその事象に対する恐れ・不安・イライラなど、一般的にネガティブとされる感情が自分の内側で湧き上がっている、またはずっと感じていることに気づくこと。頭だけで表面的・理論的に理解するのではなく、どんな感情をいま自分が持っていて、その感情や頭の中を駆けめぐっている思考(物語)がどんな身体感覚としてあらわれているかに気づくことが最初のステップとなる。

次に、それら内側にある感情や思考に対して「今のはなかったことにしょう」「ネガティブな感情は持たない方がいい」「こんな考えをしちゃいけない」という思い込みで抵抗しようとすると、余計に自分を取り巻く事象や感情に支配されてしまう。

それよりも、「いま自分にはこういうことが起きているんだ」「いま不安な気持ちでいっぱいなんだ」ということを受け止めて、そのうえで「では、いま自分の周りに起きている良いことや、自分を支えてくれる人・もの・ことは誰だろう?」とアンテナを張りはじめると、ネガティブに向きがちだった意識がよいことに向き始め、少しずつ気持ちが落ち着いてくる。

人は基本的に、自分や組織にとってネガティブなことやマイナスのことに意識をむけがちだ。そして、良いことやできたこと、積み重ねたことは無視しがちになる。できて当たり前だと思うから振り返るに値しない、こんなんじゃダメだ、もっとできなければいけない……などと思い込み、負のサイクルを自分で作り出してしまう。

しかし、自分の身の回りに起きている良いことや自分を支えてくれる人・もの・ことは、少なからず、いや、いっぱいある。普段は無視してしまっているこれら「自分の支えになっているもの」に、今こそ意識を向ける必要がある。

この連載では、いまの時期に必要なセルフマネジメントの方法を取り上げ、「新しい日常と向き合い、望む結果を得ていくために必要なこと」を紹介していこうと思う。とはいえ、記事を読むだけでは意味がない。知識はあっても実践できないのと同じで、実際にやってみて体験を重ねる中で徐々にできるようになってくる。

もちろんセルフマネジメントだけがこの状況の中で必要なスキルとは思わない。しかし、まず自分自身の土台を作り、自分自身が整っているからこそ仕事にも好影響があり、他者との関係性にも良い影響があることは間違いないので、セルフマネジメントをおろそかにしないようにしてほしい。

連載:組織マネジメント以前に大切なこと
過去記事はこちら>>

文=稲墻 聡一郎

ForbesBrandVoice

人気記事