ビジネス

2020.05.02

買いだめで売上急増「クリネックス」が注力する顧客との対話

Tada Images / Shutterstock.com

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界中の人々が家に閉じ込められ、今後の暮らしに不安を抱いている。このような状況下で消費者は、クリネックスのティッシュのような昔から馴染み深いブランドとの関わりを、以前よりも高めることになる。

クリネックスは先日、睡眠やリラクゼーションを支援するアプリの「Calm」とパートナーシップを結び、10万人の消費者に瞑想やストレス軽減に役立つトレーニングを無料で提供するとアナウンスした。参加する人々は、#AllTheFeelings というハッシュタグで自身の体験をSNSでシェアできる。

クリネックスは今回のキャンペーンの実施にあたり、広告エージェンシーのFCB Globalと提携し、外出制限下にある人々の不安を軽減する試みを始動させた。

クリネックスのゼネラルマネージャーのKeegan Coulterは「新型コロナウイルスの感染拡大は多くの人々を不安に落とし入れたが、今こそ家族や友人など親密な人々とのつながりを再確認すべきタイミングと言える」と声明で述べた。

1924年に登場したクリネックスは、米国で最も認知度の高いブランドの1つだ。クリネックスはそれまで使われていたハンカチーフの役割を置き換え、この分野を代表するプロダクトになった。

クリネックスの発売元のキンバリークラークは、トイレットペーパーのCottonelleでも知られている。同社の家庭用品部門の売上は、消費者が買いだめに走る中で急増し、直近の四半期の売上は13%増の17億ドル(約1830億円)に達した。また、営業利益は51%増の3億6500万ドルに伸びた。北米におけるトイレットペーパーやティッシュの売上は、2桁以上の伸びとなっている。

これにより、キンバリークラーク全体の営業利益は45%プラスの6億6000万ドルにまで増加し、売上は8%プラスの50億ドルにまで膨らんだ。それでもなお、同社はこの好調さがいつまで続くのかを予測できていない。なぜなら、今回のパンデミックは人類が過去100年の間、経験したことのない最悪レベルの危機だからだ。

キンバリークラークは直近の業績の好調さに気を緩めず、消費者とのつながりをより強固なものにしていこうとしている。

ニールセンによると、3月21日までの2週間の米国における消費者プロダクトの売上は、その前の2週間との比較で85億ドルの上昇になったという。これは、例年の伸び率の15倍にも達する数字であり、新型コロナウイルスの感染拡大が、いかに人々の消費行動を変えたかを如実に示す結果となった。

編集=上田裕資

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