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米国で回転寿司チェーンを展開する「くら寿司」の米国法人は4月22日、中小企業支援を目的とした米連邦政府の「給与保証プログラム(PPP)」で得た融資598万ドル(約6億4500万円)を返還すると宣言した。

米国の中小企業庁(SBA)は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞にあえぐ中小企業を支援するための枠組みとして、PPPを始動させた。しかし、米国の大手ハンバーガーチェーン「シェイクシャック」が米国で上場するレストランチェーンとしては初めて、PPPで得た融資を返還しており、くら寿司はこれに続く2番目の上場企業となった。

くら寿司の動きは、PPPの融資を受け取った他のレストランチェーンや大手企業にプレッシャーを与えることになりそうだ。

米国のスティーブン・ムニューシン財務長官は4月21日、シェイクシャックの動きを歓迎すると同時に、他の大手の上場企業らに対し、この流れに追随することを促した。ムニューシンはSBAが、PPPの受け取りにあたる新たな基準を近日公開すると述べ、一部の企業が基準を満たさずに融資を受け取っていることをほのめかした。

「PPP融資を受け取る企業らは、この融資が資金を必要としている企業向けのものであることを自覚してもらいたい。この融資枠は、資金へのアクセスに困らない大手企業向けのものではない」とムニューシンは述べた。さらに、基準を満たさない企業が資金を受け取ったままでいると、厳しい措置がとられる可能性もあると話し、ただちに資金を返還するよう求めた。

SBAは3490億ドルの資金をPPPプログラム向けに用意し、先着順で受付けを開始したが、中小企業の多くが受け取れないまま、4月16日時点で資金は枯渇してしまった。くら寿司やシェイクシャックが返還した資金は、議会の承認が受けられた場合、新たなPPPで用いられる。

米下院は23日の本会議で、4840億ドル規模の新型コロナウイルス追加対策法案を可決した。この法案にはPPP向け資金の増額が盛り込まれている。

PPPは中小企業救済の目的で、最大1000万ドルの資金を即座に貸し出すものだ。その用途が給与の支払いや雇用の維持である場合、返済は免除されることになっている。受給資格は、従業員が500人以下の中小企業とされていたが、単一のロケーションの雇用者が500人以下の一部のレストランチェーンも、受給を認められていた。

くら寿司は米国で23店舗を運営


さらに、時価総額が1億ドル以上で、PPPに頼らずとも資金の調達が可能な上場企業も、このプログラムの資金給付を得ることが可能になっていた。

その一例にあげられるのがシェイクシャックで、同社は4月17日に1億5000万ドル(約160億円)分の株式を売却していた。

PPPを受け取ったその他の大手レストランチェーンとしては、合計1510万ドルを受け取ったJ. Alexander’s Holdingsや、2000万ドルを受け取ったステーキハウス運営元のRuth’s Hospitality Groupなどがあげられる。

米国証券取引委員会(SEC)への提出書類から、くら寿司は2月末日時点で3000万ドルの現金及び現金同等物を保有していた。カリフォルニア州アーバイン本拠のくら寿司の米国法人は、2008年に設立された。

くら寿司は米国のナスダック市場に上場しており、米国の5州で23カ所の店舗を運営している。同社の日本の親会社は発行株式の50%以上を保有している。

編集=上田裕資

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