販売、供給、さらに価格は?
製造開始の時期についてカッペーロ氏は、時期が後ろにずれ込むことは避け、5月末の始動をほぼ確実視しているという。ドロップマスクの販売価格についてはまだ告知できないが、多くの人に求めやすい価格になるとのことだ。
「いまは考慮すべき課題がいくつかあります。特に、製造工程をオートメーション化できるかという点と、資材を国内マーケットから調達できるかどうかという点です。もちろん、これらが実行可能であれば、さらに価格を抑えられる可能性もあります」
どこで購入できるか?という問いに、カッペーロ氏はオンラインでも購入可と回答。「一部は我々の持っている販売網に委託しますが、自社のオンラインサイトでの販売も準備中です」とのこと。
「半永久的耐性のマスク」のアイデアはどう生まれた?
この緊急事態に、イタリア全土に貢献したいという思い。まさにこの気持ちが、カッペーロ・グループの力で新型コロナウイルスに対抗するマスクを実現することに繋がったとカッペーロ氏はいう。
だが、それだけではない。この「ドロップ」プロジェクトは、状況に対応する力、厳しい状況を弾き返す力、とも呼ぶことのできる精神の賜物なのだということ。
CEOはこう語る。「このマスクのアイデアは、もともと社内での必要性から生まれたんです。この非常事態に、弊社の社員とその家族を守るためのマスクが必要でした。海外の市場から調達することを検討しましたが、異常なほどの高価格と入手にかかる時間に愕然としました。結果、自社で生産することにしたんです。国内で調達できる資材をできる限り使って」
ここに、カッペーロ・グループの行動を際立たせるものが、もうひとつある。互助の精神だ。このマスクの初期サンプル商品を、市場価値にして10万ユーロ分、シチリア州の保健当局、ラグーザ、ヴィットリア、及びモディカの病院、そしてラグーザ県の消防団司令部に寄付するという。
ドロップマスクが、カッペーロ・グループの最新のイノべーションだが、この企業の50年史において、これまで2つのコアビジネスを継続してきた。アルミニウムの生産販売と、鉄製手工業製品の金属または亜鉛メッキによる表面加工だ。
しかし、これだけではない。近年、グループは太陽電池モジュールの製造、販売、設置において、業界で重要な位置を獲得している。「Micron」と「Coversun」というブランドも生まれた。さらに、建築物に導入する太陽光発電システムのソリューションも提供しており、エネルギーの自給自足を可能にするという点でも興味深い存在だ。