ビジネス

2020.04.27

コロナのいま問われる、社会課題解決型スタートアップの真価とは?

パレ・フタバの福山工場でマスクを作る様子


社会課題解決型スタートアップの矜持


「未曽有の経済危機の中で、債務保証という形で、リスクをとるのは、我々のような小さなスタートアップにとっては非常に難しい決断でした。しかし、自分たちは、社会の課題を解決しながら、最終的には経済性との両立を目指す『社会課題解決型スタートアップ』を名乗っている。未曽有の危機だからこそ、ここで何の社会貢献もしないわけにはいかない、と思いました」(星)。


児玉保育園(埼玉県本庄市)に第一弾のマスクが届いた

ユニファとシタテルらが話を始めたのは3月28日。対面で会わずにオンラインのやりとりだけで2週間後にプロジェクトをローンチした。「同じ志に向かって、各社で意見を出し合い、大企業にはないベンチャーの機動性を活かすことができた」と星は振り返る。

星がユニファに加わったのは2019年6月。それまではモルガン・スタンレー証券のM&Aバンカーだった。ニューヨーク赴任中に子どもが生まれ、「娘に心から誇れる仕事がしたい」と思うように。東京に帰国して約3年後にユニファに転職した。離職率が高い保育士や保育施設の社会課題を解決し、女性活躍の推進や労働人口の増加を促進する会社のビジョンに惹かれたからだ。

2017年に邦銀系初のインパクト投資を行う「子育て支援ファンド」を立ち上げ、ユニファに出資している新生企業投資のインパクト投資チーム・シニアディレクターの黄春梅はこう話す。

「社会課題解決型のスタートアップが何をやるべきか真価を問われている時。会社を守りながらも、社会に貢献するにはどうすればいいのか考えなければならない。このプロジェクトは、投資家として見ても合理的だと思う。ユニファの売上に直接的な貢献はないようにみえるが、保育園現場という顧客に寄り添って、安全を提供する。ファンとなる顧客層、潜在顧客の増加につながり、会社の中長期の成長にも資する取り組みだ。社会性と経済性の両立というインパクト投資の思想を具現化している」

文=Forbes JAPAN編集部

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