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ここまでしないと声をあげることが難しいのが、福祉現場の現状なのだろう。実際にマスクが足りず、感染リスクと隣り合わせなことに不安を感じながらも、「医療現場のほうが優先だから、うちは小さい施設なので大きな施設を優先して下さい」と遠慮する現場も少なくないという。我慢することに慣れてしまっているのだ。障害者と健常者を分け隔てる「分断社会」の中で、介助が必要な側から、健常者側のコミュニティに呼びかけることが難しくなっている。

プロジェクトではまず、関東近郊の施設からマスクの配布を開始するという。今後マスクや資金が十分に集まり次第、全国へ向けても届けていく予定だ。

マスク
オンラインで行われた会見には4団体の代表と手話通訳士の方が登壇した。

福祉は必要不可欠な生活インフラ


澤田はこのプロジェクトへに込めた思いをこう語った。

「感染防止のために施設を閉鎖すればいいのでは、という声もあります。しかし介助を必要とする人にとって福祉は、水や電気と同じようになくてはならない生活インフラです。福祉施設を閉鎖することは『水から感染の恐れがあるので水を飲まないでください』と言われていることと同じ。福祉業界自体がマイノリティである必要はないし、障害はいつ自分が直面するかわからないことだからこそ、福祉の役割について多くの人に知ってもらいたい」

このほか、登壇した各団体の代表の声も紹介したい。

Get In Touch 東ちづる代表は「福祉の役割や、施設の存在自体を知らない人も多い。地域の施設の存在を知り、まずは地域で繋がること。マスクを届けるのももちろんだが、施設同士や企業など、ぜひたくさんの人と繋がってこの局面を乗り越えていきたい」と意気込みを語った。

ヘラルボニー松田崇弥代表は「福祉の現場が自らSOSを出せる環境を醸成するプロジェクトになれば」と話し、D-SHiPS32上原大祐代表は「全国の福祉現場が一体になれたらと思う」と強調した。
単にコロナ禍のプロジェクトとして終わるのでなく、繋がりのある社会になるきっかけとなることを目指したいという思いが伝わってくる。

この異例な状況の下で安心を得たいと思うのは、皆同じこと。福祉の現場に限らず、自分が必要なものを届ける側になることで、より広く社会に安全な場が広がり、自らの安心感にも繋がっていくだろう。

文=河村優

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