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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

テスラ モデル3 (C)Tesla

新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、世界のカーメーカーが生産を一時的に休止している。車業界にとっては、2008年のリーマンショック以来の危機となり、どのメーカーでも販売台数が暴落している。

今年第1半期の米国での販売台数を見てみると、トヨタは37%減、日産は29%減、ホンダは48%ダウン。英調査会社IHSマークイットの予測によると、20年の世界新車販売台数は19年に比べて12%減になるそうだ。

日本では、トヨタが輸出用の車両を製造する国内5工場を一時休止した。海外での新車需要が減少したためだが、こんな生産調整をしたのは初めてだという。外出自粛や物流の停滞で部品の調達ができず、クルマを作りたくても作れないという状況でもある。また、米国で新車販売実績が42%減のマツダでは、同国の大都市にある店舗の半分程度が休業をしているため、車が売れないという。

中国でテスラが好調なワケ


しかし、この消極的な話の中でも、明るい兆しが見えてくるストーリーもある。中国では、電気自動車を代表するテスラが販売台数の新記録を出した。3月に同社は10160台を販売し、中国で売れたEV車の25%のシェアを占めたと中国乗用車協会が発表した。

これはエントリー・レベルのモデル3のセールスが特に順調だったためで、テスラ社としても新記録となった。中国での全セールスが40%も落ちている状況でこの好成績は、驚きに値する。

なぜテスラだけが好調なのか? まず、世界一の市場である中国での販売を上げるために、納車時のデリバリー・サービスを購入者が喜ぶような方法へと改善したことがあげられる。しかし、もっと大きな理由は、今年1月に上海のギガファクトリー工場で生産が始まり、そこで生産された関税のかからないクルマを中国の顧客に提供することで、より競争力のある価格にできたからだ。

今年の1月上旬にギガファクトリーが操業開始になるまで、同国で販売されていたアメリカ製のテスラには高い関税がかけられていた。また、米中の貿易戦争の影響で、ギガファクトリーも1月末には政府からの命令で、数週間の操業を休止し、セールスも低迷していたのだった。

電気自動車への需要は高まるか?


前出のIHSマークイット調査報告によると、世界のEVのシェアは、テスラが20%、中国のBYDが8%、BMWが7%。第1四半期のセールスが20%落ちているBMWにとって、電動車のセールスが15%上がっているのはうれしいことだ。

パンデミックの悪影響の後、緩やかに社会が正常化し始めた中国でEV全体の需要が伸びてきたので、テスラもより充実したラインナップへの需要が高まることを期待できそうだ。


ホンダe(Sjoerd van der Wal/Getty Images)

さて日本はというと、今年はEV界にキュートな小型車とスタイリッシュなSUV、それに高級燃料電池車が年末に登場することになっている。ホンダ初の量産電気自動車「ホンダe」はすでに、欧州で試乗記が出回っているけど、かなり好評だ。

また、マツダ初のEV「MX-30」というSUVも年末までにはショールームに並ぶ予定で、トヨタの新型ミライという燃料電池車が12月までに登場することになっている。パンデミックの影響が長引かないことをひたすらに願っている。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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