新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大手アパレルブランドの多くは全米の店舗を閉鎖しており、財政的に非常に厳しい状況に直面している。
Old NavyやBanana Republicの運営元としても知られるGAPは4月23日、米証券取引等委員会(SEC)への書類で、北米の2785店舗の家賃支払いを4月から停止したことを明かした。未払いの家賃の総額は1億5500万ドル(約167億円)に及ぶ。
GAPはパンデミック以降に全ての実店舗を閉鎖し、約8万人の従業員に一時帰休を命じたほか、役員の報酬を減額した。同社は家賃支払いに関し、貸し手と交渉を行うと述べているが、いずれにせよ一部の店舗を撤退させるつもりだと警告した。
GAPはまた、手持ちのキャッシュを急激に減らしていることも明かしている。2月上旬に同社の現金残高は17億ドルだったが、5月1日には7億5000万ドルから8億5000万ドル程度まで、減少する見通しという。
SECへの提出書類でGAPは、今後の12カ月以内に新たな出資が受けられなかった場合、オペレーションの継続が困難になると述べた。今後の打開策としては、新規の借り入れや、さらなる人員削減、外部の業者への発注の削減などがあげられた。
感染拡大を受け、消費者の小売分野へ支出額は大きく落ち込んでおり、減少幅は2008年の金融危機の際を上回っている。今年3月の米国消費者の小売り支出額は8.7%のマイナスで、減少幅は2008年に記録した3.9%のマイナスを上回った。
他の小売大手の財政状況も逼迫した状況にある。不動産関連メデイアThe RealDealによると、全米の小売業者らの4月の家賃の支払い率は現時点で53%という。この数値は、3月の同時期に87%だった。
H&Mやノードストローム、Foot Lockerらも4月の家賃を支払っていないという。