ロシアのタス通信は4月15日、ロスコスモスでソユーズ宇宙船の打ち上げを行うエネルギア社のスタッフが、新型コロナウイルスに感染していたと伝えた。問題のスタッフはロスコスモスの主任であるDimitry Rogozinや先日ISSに向けて旅立った宇宙飛行士らと面談していたという。
4月9日、カザフスタンからISSに向けて発射されたソユーズには、2人のロシア人宇宙飛行士と、NASAのクリス・キャシディ宇宙飛行士が搭乗していた。
3人の宇宙飛行士らは、打ち上げの直前の数週間を隔離状態で過ごしていたが、エネルギア社のスタッフやRogozinらと複数回、ミーティングを行っていたという。しかし、ロスコスモスの広報担当のOleg Bolashevは、面談にあたっては慎重な配慮を重ねており、ISSにウイルスが持ち込まれた確率は非常に低いと述べた。
「新型コロナウイルスがISSに持ち込まれたと想定するのは全く不可能だ。関連するスタッフらは、厳格なルールを守り、ISSの乗員らにいかなる脅威も及ばないようにオペレーションを行っている」とBolashevは述べた。
NASAの広報担当のStephanie Schierholzも、「NASAはISSの安全を確保するためにあらゆる手段を講じている」と述べた。Schierholzによると、ISSに新型コロナウイルスの検査キットは無く、今後NASAが検査キットを送り込む計画も無いという。
仮に、3人宇宙飛行士の1人が体調に異変をきたした場合、その宇宙飛行士をISS内の別のエリアに隔離するなどの措置がとられるという。さらに、医学的な緊急事態が生じた場合には、ISSに接続済みのソユーズ宇宙船で、クルーらを帰還させることも可能とされている。
しかし、その場合はISSが無人状態で取り残されることになる。
一方で、5月27日にはスペースXのクルードラゴン宇宙船が米国から発射され、ISSに向けて初の有人飛行を実施する予定となっている。
新型コロナウイルスが今後のISSのミッションに、どのような影響を与えるかは定かではない。しかし、当面の間はさほどの問題にはならないのかもしれない。