クリーンテック関連の雇用は50州すべてに広がっているが、なかでも大統領選挙を見据え、政治的に重要なカリフォルニア、テキサス、フロリダ、ニューヨークの4州には、この分野の仕事に就く者が多い。
過去の経緯を振り返ると、オバマ前大統領は2009年の就任時、総額1兆ドルの景気刺激策による米国経済の再生を公約していた。この1兆ドルのうち900億ドルがクリーンエネルギーに割かれた。その結果、100万人以上のクリーンエネルギー関連雇用が生まれた。
当初は、グリーンエネルギーは見かけ倒しの無駄な事業だという批判に加え、自由市場の「見えざる手」こそ、米国がリーマンショック後の世界的な不況から浮上するためのメカニズムであるべきだとして、この景気刺激策に意を唱える声があった。
しかしそれから約12年が経ち、状況は様変わりした。トランプ政権は約2年前に、1兆ドル規模の減税を伴う税制改正法案を成立させた。さらに最近になって、米国の働く国民に直接現金を給付し、小規模企業の事業を支援する内容の救済法案に署名している。この救済措置は、実に2兆2000億ドルという規模だ。
さらに現在、ドナルド・トランプ大統領は石油産業を崩壊から救うべく、手を打とうとしている。確かに石油産業は米国経済の重要な一角を占めているが、雇用されている人員で比較すると、その規模はクリーンテックセクターの3分の1にすぎない。雇用に関するE2のリポートによれば、クリーンテック業界で働く労働者は336万人に上る。これに対して、石油産業は119万人だ。
米再生可能エネルギー評議会(ACORE)のグレッグ・ウェットストーン(Greg Wetstone)会長は、クリーンテック業界が力強い復活を遂げるためには、連邦議会は、風力および太陽光発電を対象とした「発電量1kwhあたり2.3セント」という発電税額控除(PTC)の適用期間をさらに延長する必要があると主張する。あるいは、投資に対する30%の税控除を行い、企業によるプロジェクトへの投資額と同額を、連邦税から控除すべきだと述べる。
さらにウェットストーンは、太陽光パネルを用いて施設内で発電を行う事業者が増えている現状を踏まえ、エネルギー貯蔵に対する税控除も必要だと述べた。