コロナ禍による米国の雇用喪失、女性たちにより深刻な打撃

Photo by Giles Clarke/Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて実施された都市封鎖により、米国では何百万もの雇用が失われている。それによる打撃は男性よりも女性のほうが深刻で、労働市場は長期にわたって影響を受ける可能性があることが、カンザスシティ連邦準備銀行による新たな調査でわかった。

調査結果は記録的な内容で、衝撃的なものだ。とはいえ、予想通りの結果だ。原因は、初期に発せられた警告に耳を傾けなかったせいで、米国は感染を抑制するために必要な検査や接触者の追跡ができなくなってしまい、感染拡大を防ぐために社会的距離戦略(ソーシャル・ディスタンシング)を強行せざるを得なくなったことだ。

失業保険の新規申請数は、わずか4週間で2200万件に上っている。エコノミストの多くは、失業率はすでに20%に達し、今後もさらに上昇するとみている。

「女性、特に大学の学位を持たない女性が、雇用喪失の第一波で、より深刻な打撃を受けている」。調査を行ったカンザスシティ連邦準備銀行シニアエコノミストのディデム・テュズメン(Didem Tuzemen)と、同銀研究員のタオ・トラン(Thao Tran)は、調査結果のなかでそう述べている。

「今後数か月にわたって雇用がますます失われ、改善が見られなければ、この不均衡が、女性の雇用と労働市場に長期的な打撃を与えるおそれがある」

労働省の事業所調査によると、2020年2月の時点では、米国の全雇用のうち、女性の就労は半数にも満たなかった。にもかかわらず3月には、雇用減少全体の60%にあたる42万5000の女性の雇用が失われた。

女性は、新型コロナウイルス危機で最大の痛手を受けている業界で就労しているケースが多く、その5650万人中、3540万人が女性だ。驚くべきことに、ヘルスケアならびに社会支援業界における全雇用の80%近くが女性で占められている。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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