米国では、危機対応をめぐって政権への批判が高まっている。他国のリーダーや、危機が発生した際に政権に就いていた歴代米国大統領と比べると、トランプの支持率は見劣りする。
米国で初めてロックダウン(都市封鎖)が実施された3月なかばには、トランプの支持率は上昇したものの、ギャラップ(Gallup)が4月に行った最新世論調査では、支持率は49%から43%に下がっている。この減少幅は、トランプが大統領に就任してから最大だ(とはいえ、平均支持率の40%は上回っている)。
他国に目を向けると、支持率が目を見張るほど上昇したリーダーもいる。特に注目すべきはドイツのアンゲラ・メルケル首相だ。3月はじめ以降、メルケルの支持率は11ポイント上昇して79%となったことが、ヴァーレン研究所(Forschungsgruppe Wahlen)の最新調査で明らかになった。
また、イタリアのジュゼッペ・コンテ首相も、同国の新型コロナウイルス感染症の死者数が世界最多に数えられるにもかかわらず、支持率は急上昇して71%に達し、2018年6月の首相就任以来、最高となった。
フランスも同様だ。複数の調査によると、幾度となく窮地に陥っているエマニュエル・マクロン大統領の支持率は2月以降、14ポイント増と大幅に伸び、現在は46%から51%ほどとなっている。これは、2018年6月以来でもっとも高い支持率だ。
英国のボリス・ジョンソン首相も支持率が上がっている。パンデミックへの対応の遅さに批判が集まったが、3月の世論調査では、首相の対応に国民が満足した様子が見られ、支持率は52%に上昇。2月と比較して5%伸びた。ただし、自身が新型コロナウイルスに感染し、4月に入ってからはしばらくの入院を強いられた。
カナダでは、4月はじめに実施された調査で、ジャスティン・トルドー首相の支持率が74%に達した。党首を務める自由党にも支持が集まっており、総体的な満足度は37%と、3月から5%上昇している。
一方、ブラジルのボルソナーロ大統領は、危機対応について誰よりも厳しい批判が集まっているリーダーと言えるかもしれない。最新の2つの調査から、支持率は28%から33%ほどであることがわかった。さらに、大統領の新型コロナウイルスに対する対応に不満を持つ人が約40%に上っていることも明らかになっている。
日本の安倍晋三首相も、新型コロナウイルスの集団感染をめぐって「手ぬるい対策」をとったとして、その姿勢に批判が集まり、支持率は3月末に5ポイント下がって40%に落ちた。また、不支持率は43%で支持率を上回ったことも、共同通信社が3月末に実施した調査で明らかになっている。