プロ選手のeスポーツ参入、新型コロナが追い風となるか

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私は毎週数回、自分の自転車をインドアトレーナーに接続し、ノートパソコンでオンラインサイクリングアプリ「Zwift(ズウィフト)」を使って運動している。欧州では、寒くて雨の多い冬も健康を維持するため屋内トレーニングが普及してきたが、ズウィフトなどのアプリにより屋内フィットネスは新しい次元へと進化している。

同アプリの大きな特徴は、世界中のサイクリストと競い合うことができるソーシャル機能だ。同アプリではさらに、実世界の自転車競技と同じような解説や設備をそろえたライブイベントも何度か開催されてきた。

必要は発明の母


私はサイクリングもプロ競技の観戦も好きだが、ズウィフトのライブイベントにはこれまで全く興味をそそられなかった。コースはプロのレースで使われるようなルートを反映しておらず、もちろん選手のレベルも世界のトップ選手より低いことが多いからだ。

しかし、1月から続く新型コロナウイルス流行により、状況は変化しつつある。ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスなど世界中の自転車レースが次々と中止・延期されたことで、生中継の観戦ができなくなったのみならず、プロの選手が競う場がなくなってしまった。

その結果、多くの人がインドアトレーナーやズウィフトなどのアプリで運動をするようになった。サイクリングファンの私にとっては、有名なプロ選手と同じスタートラインに立てることは嬉しい体験だ。

オンラインの未来


オンラインでのレース開催は今のところ、一部のプロ選手と一流アマチュア選手によるプロアマ大会に限られているが、観戦者の数は限定的で、プロのレースほどの露出度はない。

これは、時に驚愕の規模で開催されるeスポーツ大会とは非常に大きく異なる。例えば「リーグ・オブ・レジェンド」の大会では、選手はオンラインで競い合い、実況中継であらゆる動きが伝えられる。選手らは30分の試合を勝ち抜いていき、優勝者は約20万ドル(約2200万円)もの賞金が得られる。

eスポーツの世界観戦者数は2019年、前年比12%増の約4億4300万人に達した。eスポーツ市場の規模は今年、10億ドル(約1100億円)を超える見通しで、その多くはスポンサーと放映権による収益だ。

しかし、これも新型コロナウイルス発生により変化した。eスポーツでは大規模イベントの多くが生中継で行われるため、他のライブイベント企業と同じく影響が生じている。だが一方で、学校閉鎖や在宅勤務によって多くの人が外出制限を受ける中、オンラインゲーム業界は急成長している。
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編集=遠藤宗生

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