プロ選手のeスポーツ参入、新型コロナが追い風となるか

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長期的な変化につながるか?


しかし、現在のeスポーツブームが今後も続くものなのか、それとも実世界でのスポーツが中断していることによる一時的な息抜きにすぎないのかは、はっきりしない。

フォーミュラ・ワン(F1)やスペインサッカーリーグのラ・リーガ、米自動車レースNASCAR(ナスカー)などは、大会中止による空白を埋めるため、オンラインゲーム大会を開催すると発表した。こうしたイベントは、大会中止による経済的損失の穴埋めとなるかもしれない。チームや大会の多くは、活動停止が長期にわたれば経営破綻につながると警告している。

オンラインで十分再現できるスポーツはそう多くないのではと思う人もいるだろうが、数週間前ではオンライン化が考えられなかったような自動車レースやラグビーの世界でも今、バーチャルへの移行が試されている。

鍵となるのは、選手がオンライン競技によって生計を立てられるかどうかだろう。eスポーツ界の一流選手が大会1回で稼ぐ額は多くとも1万5000ドル(約160万円)で、世界の一流スポーツ選手が稼ぐ額には及ばない。

また、多くの資金が投入されるようになれば、規制がより重要になる。ズウィフトのレースでは、サイクリストの体重から、速度や負荷を伝達する機器の信頼性まで、さまざまな面で課題が残っている。実際、昨年開かれた英国初の自転車eスポーツ全国大会では、優勝者がシミュレーターを使って高性能のレース用バーチャル自転車を不正に入手していたことが分かり、タイトルを剥奪された。

こうした課題からは、実世界の大会で数百万人の観客を集められるようなアスリートをeスポーツに誘致できる可能性は低いことがうかがえる。とはいえeスポーツは、試練の時を迎えている人々に対し、スポーツから得られるのに近い息抜きと気分転換の機会を与えてくれるかもしれない。

編集=遠藤宗生

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