テスラ対ニコラ、「次世代トラック」特許戦争の行方

テスラのEVトラック「Semi」(Photo by Press Release of Tesla)


合併により年内に上場へ


水素燃料電池車はバッテリーで駆動するEVと同じく、有害な排気ガスを出さないため、炭素排出量の削減に貢献する。バッテリーが電気を蓄えるのとは異なり、燃料電池は化学反応によって発電する。ニコラによると、水素燃料電池は燃料補給時間が軽油やガソリン並みに短く、テスラの「Semi」のように数トンものバッテリーパックを搭載する必要がないため、長距離トラックに適しているという。

ニコラは今年3月、ナスダック市場に上場する「VectoIQ」との合併を発表した。VectoIQは、元GM副会長のStephen Girskyが設立した会社で、新会社の企業価値は33億ドルに達すると見込まれている。新会社には、フィデリティや大手ヘッジファンドのValueAct Capitalが合計5億2500万ドルを出資する予定だ。合併プロセスは第2四半期に完了する予定だ。

ニコラがこれまでに受注したEVトラックの台数は約1万4000台で、納品すれば100億ドル相当の売上を得ることになる。顧客にはアンハイザー・ブッシュなどが含まれ、ニコラはこれらの企業と7年間のリース契約を結ぶ。リース料には燃料代が含まれる。

ニコラは、パートナーであるイヴェコと共同でバッテリーのみを搭載した短距離向けモデルを欧州で生産し、2021年から納品を開始する予定だ。水素燃料電池を搭載した長距離用モデルは、2021年後半から出荷予定だという。

編集=上田裕資

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