テスラ対ニコラ、「次世代トラック」特許戦争の行方

テスラのEVトラック「Semi」(Photo by Press Release of Tesla)

水素燃料電池を搭載したEVトラックを開発する「ニコラ・モーター(Nikola Motor)」がテスラを訴えている問題で、新たな動きがあった。テスラは、ニコラが保有するドアの機能に関する特許を無効にするよう米国特許商標局に求めていたが、同局はこれを退けた。この特許は、訴訟において大きな争点になると考えられている。

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ニコラ・モーターの「Nikola One」(Photo by Press Release of Nikola Motor)

ニコラは、テスラが2017年11月に発表したEVトラック「Semi」のデザインが同社の「Nikola One」に酷似しているとして同社を著作権侵害で訴えた。訴訟の対象となっているのは、湾曲した窓や運転台の形状、ドアのデザインや機能などで、いずれもニコラが特許を取得している。

ニコラは、テスラに対して20億ドル(約2150億円)の損害賠償を請求している。一方のテスラは、2019年9月に特許公判審判部に対し、ニコラがドアの機能に関して取得した特許を無効にするよう求めたが、認められなかった。

ニコラの創業者兼CEOであるTrevor Miltonは4月20日、次のようにツイートした。「特許商標局は当社の特許を支持し、テスラの申し立てを退けた。これにより、テスラに20億ドルの支払いを求める訴訟が前進した。我々は、相手が誰であろうと著作権を守り抜く」

本件についてテスラにコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。

今回の特許商標局による判断は、ニコラがカリフォルニア州の連邦地方裁判所に起こした訴訟に直接影響を与えるものではない。しかし、ドアの機能はデザインの類似性以上に大きな争点であることから、テスラの訴えが認められていた場合、ニコラにとって不利に働いていた可能性がある。

ニコラのチーフ・リーガルオフィサーであるBritton Worthenは「特許商標局は適切に判断を行い、その内容を支持する」と述べたが、訴訟に関してはコメントを避けた。

ニコラは軽油トラックよりも安く、環境にやさしい水素燃料電池で駆動するEVトラックの開発を手掛け、投資家から多額の資金を調達している。同社は、ボッシュやメリトール、欧州のトラックメーカーであるイヴェコ、韓国の太陽光パネルメーカーであるハンファ、ノルウェーの水素技術企業ネルなどの大手企業とパートナーシップを締結している。
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編集=上田裕資

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