コロナから回復した人の血液の中の血漿(けっしょう)には、ウイルスを排除する免疫(抗体)が存在するケースがあるとされ、彼らは今後の研究を加速させる目的で、血漿の寄付を行っている。
トム・ハンクス夫妻は、ワクチン開発を支援するため、血液に含まれる血漿を研究機関に提供したという。ハンクスの妻のウィルソンが、CBSのニュース番組「This Morning」で明らかにした。
4月13日にコロナウイルスに感染したことを明かした、人気ニュース番組「Good Morning America」のアンカーを務めるジョージ・ステファノプロスも、21日に回復を宣言し、医療機関に血漿を提供する計画を公にした。
NBAのボストン・セルティックス所属のバスケットボール選手、マーカス・スマートもコロナから回復し、自身の血漿を研究プロジェクトのNational COVID-19 Convalescent Plasma Projectに寄付すると宣言した。
著名人がコロナ感染を告白することに対しては、一部から批判の声もあがっていた。多くの人々が、検査を受けられない状況にある中で、セレブたちはいち早く検査を受け、優雅な暮らしを送りつつ、ソーシャルディスタンスに励む姿をSNSに投稿するからだ。
回復した患者の血液からコロナの治療薬を作る試みは、まだ実験段階にあるが、米食品医薬品局(FDA)も先日、回復した人々に血漿の提供を呼びかけるウェブサイトを開設した。米国で最も優れた病院とされるメイヨークリニックも、血漿を用いた治療法の研究を進めている。
リタ・ウィルソンは治療の過程で抗マラリア薬のクロロキンを投与されたが、副作用のひどい吐き気に悩まされたとインタビューで応えていた。クロロキンを用いた治療はトランプ大統領が推奨しているが、効果は実証されていない。
4月20日には、製薬大手のノバルティスが新型コロナウイルス感染症の治療薬として抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」のフェーズ3の臨床試験を実施する許可を、FDAから取得したと発表した。