Miroが先行する中、狙うはエンタープライズ
チームコラボレーションの領域では、すでに米国発のツール「Miro(ミロ)」が先行している。そうした中、どう差別化を図っていくのか──土屋はつぎのように語る。
「僕たちがが狙っていくのは個人のクリエイターではなく、エンタープライズの領域です。特に大企業は情報セキュリティの観点から、海外のツールが使えないケースがある。Prottのときも、それがひとつの強みになっていたわけです」
また、北村もこのように続ける。
「日本の企業のことを知っているのは、ひとつの強みですね。グッドパッチはクライアント事業部を通じて、さまざまな国内のクライアントと対峙しています。最前線で向き合っているからこそ、何を必要としているかは知っている。その知見をプロダクトに反映し、実際に使う中でクライアントから出た声などをプロダクトに反映し、さらにパワーアップしたものを使ってもらう。そんな良いスパイラルをつくっていけたら、と思います」(北村)
また、カスタマーサポートが日本語に対応している点も国内展開においては、Miroと比較しても強みになるという。
「Miroも良いツールではあるのですが、個人的には機能が増えていて少し分かりづらい部分もあり、もっとシンプルで直感的に使えた方がいいのではないか、とも思います。そういう意味でStrapは“誰でも簡単に使える”ことを常に意識したいですね」(北村)
将来的には「ナレッジマネジメント」の領域へ
Strapはパブリックβ版を通じて、ユーザーからフィードバックをもらい、夏頃には正式版のリリースを目指していく予定だという。前述したかんばんを使ったタスク管理、マインドマップを使った思考の整理といった機能は今後追加されていく。
同事業を通じて、グッドパッチは何を目指すのか。最後、土屋に質問を投げかけると「ナレッジマネジメントの領域に食い込んでいきたい」と語ってくれた。
「Strapを開発するにあたって、もともと考えていたのはオンラインホワイトボードのような役割だけではないんです。長期的に狙っているのは、ナレッジマネジメントの領域です。グッドパッチはナレッジシェア、ナレッジを溜めていく文化が会社の大きな強みになっているので、それをプロダクトを通じて実現した。Strapはナレッジマネジメントを実現するためのファーストステップだと思っています」(土屋)
「個人やチームの単位で見ると認識のズレをなくし、仕事のスピードとクオリティを上げるところに関心が集まると思いますが、経営層のレイヤーで見ると、資産の再利用性が高まることに関心が集まるのかな、と思います。自社内の有効な情報をどう集約し、共有して再利用してもらうか。その役割をStrapが担っていきたいですね」(北村)