時代が変われば、進化していけばいい──「ピンクヘアの双子」AMIAYAが目指す世界的アイコン


リミッターを外したら世界が変わった


ファッション誌やカルチャー誌で特集が組まれ、数々のショーに出演するようになったAMIAYAは、2012年にファッションブランド「jouetie(ジュエティ)」を立ち上げ、クリエイティブディレクターに就任。2013年にはアーティストとしてアルバムをリリース。さらにDJとしての活動を本格的に始めるなど、着実に活躍の場を広げていった。

「興味のあることはふたりともわりと近くて、まったく同じタイミングで『やってみよう』と思うこともあれば、どちらかが『もうちょっとこういう見せ方がいいんじゃない?』ってブレーキを踏むこともあります」(AYA)

「AYAちゃんはわりとじっくり考えるほうで、AMIは『思ったらすぐ行動』みたいな感じ。旅先でも、AYAちゃんはしっかりいろいろと調べてくれるんだけど、私はいつもノープラン(笑)。だから結構バランスが取れてるのかもしれないですね」(AMI)

そんなふたりが「大きなターニングポイントだった」と振り返るのが、2017年春のミラノコレクション。「DOLCE & GABBANA」のコレクションにゲストとして招待され、海外のセレブリティやファッショニスタのスタイルを目の当たりにしたことだ。

「それまではわりと自由にスタイリングして、それぞれ違う格好をしていたりしていたのですが、華やかな場に行ってみたら、私たちが埋もれてしまった気がして。このままじゃダメだ。見つけてもらえないなって思ったんです」(AYA)

けれども思わぬところに、その打開策は見つかった。ミラノから帰る飛行機で観た、ティム・バートンの映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』だ。作品には、おそろいの白装束にマスクをかぶった双子が登場する。

「気味は悪いけど、なんか印象に残ったんです。私たちもこんなふうにまったく同じ服で自分たちのスタイルを表現したら、ファニーで個性的になるんじゃないかなって」(AYA)

「それまでも結構個性的なつもりではいたけど、無意識に『日本で活動するなら、ここまでかな』ってセーブしちゃってたのかもしれない。でもそのリミッターを外して解放してみたら、世界が一気に変わりました」(AMI)



ふたりそろってボブをフューシャピンクに染め、シンメトリーのモードファッションに身を包んだ。2017年秋のニューヨークコレクションを皮切りに、2018、19年と欧米のファッションウィークに遠征。行く先々で「ピンクのおかっぱヘアの双子」は目を引いた。コレクション会場やストリートでスナップ撮影に応じ、さらにそのスナップを見た業界関係者やメディアからオファーが届き、イタリアや中国、ロシア、香港など海外版モード誌でのファッションフォト撮影やブランドキャンペーンの参加へとつながっていった。

「それまでは『原宿ガール』みたいにカテゴライズされていたけど、はじめて私たちを私たちとして……『AMIAYA』として認めてもらえた気がしたんです」(AYA)
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文=大矢幸世 写真=小田駿一 リタッチ=上住真司

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