犬の保護シェルターが空っぽに。外出禁止命令下のアメリカのいま

Photo by Noam Galai / Getty Images


予想外の現象としては、犬の保護シェルターが空っぽになったということだ。

飼い主の事情で捨てられた犬を、市のシェルターが保護し、次の飼い主が見つかるまで餌を与えているが、この外出禁止の影響で、人々が次々とこれらの犬をもらいうけ、ペットを飼うことで退屈を紛らわせるという。市のシェルターの「待機犬」が、施設始まって以来初めてのゼロになったという。

リーマンショックのときには、借家の家賃が払えなくなって飼い犬を放出した人が多く、シェルターが捨て犬であふれたことを考えると、今回、やはり家賃が払えず放出された犬以上に、人々が外に出られない不満をシェルターから引き取る犬で癒しているという状況だと考えられる。

外出禁止命令5日間の差が大きかった


依然、全米が等しくこの新型コロナ感染拡大に苦しんでいるが、なかでもニューヨークは全米の3分の1にあたる死者を出しており、医療崩壊寸前のニュースに緊張が走っている。アメリカでの新型コロナウイルスのニュースは、もっぱらホワイトハウス発表の報道か、ニューヨークの医療関係者のSNSでの窮状を訴える発信に覆われている。

そのなかで、名門のカリフォルニア大学バークレー校の感染症専門のシュワルツ・バーグ教授は、同じペースで感染が広がっていたカリフォルニア州とニューヨーク州が、ある時点から大きな差が開き、死者数と感染者数で、後者が前者の10倍以上に膨れ上がった点を捉え、これが外出禁止命令の発布時期の違いだと指摘している。

カリフォルニアでの最初の発布が3月17日(最初はサンフランシスコのみだったが、すぐに全域に拡大)。ニューヨーク州は3月22日に出るが、この5日間の差が大きかったと説明している。

未曽有の出来事なので、結果論でしか施策の妥当性を検証することができないが、外出禁止令は、アメリカではもはや不可避なものと位置づけられ、この動きは当面継続、または延長されていく長期戦が予想されている。多くの人間が外出禁止を真剣に取り行っている。日本の皆さんにも、ぜひ、この状況を理解していただきたい。一刻も早い終息を祈りたい。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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