犬の保護シェルターが空っぽに。外出禁止命令下のアメリカのいま

Photo by Noam Galai / Getty Images


多くのビジネスが失われ、たくさんの失業者が出ているなか、雇用を増やしている企業もある。

人々の間では、Eコマースで買えるものならEコマースでという流れは確実に強くなっており、アマゾンは物流部門の強化のため10万人の新規雇用に動いている。また、防衛的な買いだめの勢いは収まったものの、不安に引っ張られるように継続しており、ウォルマートは15万人の雇用増を計画している。

さらに、外食産業が壊滅的な打撃を受けている一方で、デリバリーやテイクアウトフードを中心にやってきたビジネスは人を増やしている。それもアルバイトではなく、正規雇用を増やしているというから、この新型コロナの騒動が簡単には収まらないという見方を示しているのがわかる。

デリバリーフードではピザハットが3万人、クスリへの需要増からドラッグストアのCVSが5万人、爆発的な失業増を背景に米100円ショップのダラー・ゼネラルが5万人、日曜大工の需要増のためにホームセンターのローズが3万人、セブンイレブンが2万人と採用活動が続いている。ほとんどのビジネスが壊滅的になっていると思われている一方、こうした採用は多少でも明るいニュースだ。

買い出し不要、温めるだけ…


急激に業績を伸ばしているのが、家庭用調理食材を提供するミールキット業者と、電子レンジで温めるだけの宅食業者だ。

前者で有名なのはブルーエプロンで、大きな段ボールに、野菜から肉、魚などの1週間分の食材を、たくさん詰め込んだ保冷剤とともに自宅へ送ってくれる。ポイントは、買い物をゼロにできる点と、レシピまで考えてくれる点だ。

筆者も使ったことがあるが、新鮮な厳選された材料に加えて、頭を使わず簡単に調理ができるのが良かった。アメリカのトリセツは、なにかと文字ばかりで日本人をがっかりさせるが、同社のレシピは写真が満載なので、料理の素人でも使い勝手がいい。

もう一方の宅食業者のものは、電子レンジ耐熱用の容器に入っていて、加熱さえすればすぐに食べられるという食事を届けてくれる。

人気があるフレックスプロミールの場合、約30種類以上のメニューが用意されており、顧客が選んでオンライン上のショッピングカートに入れておけば、それが毎週届けられる。容器は使用後バリバリと割れて、燃やせるので、ゴミ出しへの配慮もされている。筆者も、外出禁止命令が出ると同時に会員となった。ボリュームがもう少しあればいいとは思うが、味や質には満足だ。
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文=長野慶太

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