ニューヨークのナスダック市場に上場する拼多多の株価は20日、12.7%の上昇となり、史上最高値の50.11ドルで取引を終えた。現在40歳のファンの保有資産は29億ドル増加し、260億ドル(約2.8兆円)に達した。
かつてグーグルのエンジニアだった彼の資産は翌21日には250億ドルまで減少したが、現在もフォーブスのビリオネアランキングにおいて中国3位の富豪にランクインし、世界では35位につけている。
北京本拠の家電小売企業「ゴメ・リテール(国美零售)」は4月19日、転換社債の発行を通じ拼多多から2億ドルを調達し、戦略的パートナーシップを締結するとアナウンスした。この報せを受けて、ゴメ・リテールの株価も20日の香港市場で16%の上昇となった。
2015年設立の拼多多の時価総額は20日時点で580億ドルに達しており、わずか数年で中国最大のEコマース企業の1社に成長した。同社にはセコイア・キャピタル・チャイナが出資しており、取締役会にはセコイア・キャピタル・チャイナ創業者のニール・シェンが参加している。
ニール・シェンは先日、フォーブスが発表した世界トップのベンチャー投資家100人リスト「ミダス・リスト」で1位に選出されていた。
現在のファンの保有資産250億ドルは、グーグルの共同創業者のラリー・ペイジ(559億ドル)やセルゲイ・ブリン(539億ドル)には及ばないものの、元グーグルCEOのエリック・シュミット(142億ドル)を上回っている。
今回、拼多多が出資したゴメ・リテールは1987年の創業の企業だが、2007年以降に時価総額を95%減少させており、現在の時価総額は24億ドルとなっている。ゴメ・リテールを創業したWong Kwong Yuはインサイダー取引と贈賄で有罪判決を受け、現在は服役中だ。
拼多多とゴメ・リテールの提携は両社のメリットとなる。拼多多はオフラインのサービスを強化し、ゴメ・リテールが運営するソーシャルEコマースも新規の顧客を呼び込める。
中国は米国に次いで、世界で2番目にビリオネアが多い国となっている。新型コロナウイルスのパンデミックが広がる中においても、中国では今年に入り複数のIPOから新たなビリオネアが生まれている。