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2020.04.22

ロックフェラー財団、コロナ検査拡大に向け16億円を出資

ロックフェラー財団プレジデントのRajiv Shah(Photo by CNBC / Getty Images)

ロックフェラー財団は4月21日、新型コロナウイルス感染症の検査体制の拡大に向けた行動計画を発表し、1500万ドル(約16億円)を出資すると宣言した。

同財団のアクションプランは3つのステップで構成されており、検査の拡大や、感染の追跡を行う医療組織の連携の構築、検査データを扱うデジタルプラットフォームの設立を目指している。

米国は現在、週あたり約100万人の検査を行っているが、ロックフェラー財団は今後の2カ月で週に300万人まで拡大する計画だ。さらに6カ月以内に、週あたり3000万人を目指している。

検査体制の強化にあたっては地域及び学術機関のラボを活用し、一度の検査プロセスで複数のテストを可能にする仕組みを構築するという。さらに、第2段階としてボランティア団体のPeace corpsやAmeriCorp(アメリコー)のメンバーを含む、10万人以上のヘルスケアのグループを結成する計画だ。

そして第3段階では、テクノロジー企業と政府プログラムの連携による、テストデータや感染データを統合管理するデジタルプラットフォームの創出を目指している。

ロックフェラー財団プレジデントのRajiv Shahによると、これらの計画の実行には1000億ドルのコストがかかるが、長期的に見て政府の支出を節約することにつながるという。「これらのコストは、人々を安全に職場に復帰させるための適切な投資となる」と、彼は記者発表で述べた。

ロックフェラー財団のPandemic Response部門のマネージメントディレクターのJonathan Quickは、「プロジェクトのゴールは、アウトブレイクの再発を監視可能にすることだ。現状で米国民の95%が、新型コロナウイルスに対する免疫を持っておらず、ワクチンが開発されるのもまだ先のことだ」と述べた。

連邦政府はここ数週間、検査キットの配布が遅延していることで非難されている。経済活動を再開させる上で、厳密な検査体制の構築は必須のものとなると科学者らは述べているが、米国は他の諸国に遅れをとっており、テスト能力は州によってかなりの格差がある。

トランプ大統領は先日、米国の各州は十分な量の検査キットの供給を受けつつあると述べたが、ニューヨーク州のクオモ知事やメリーランド州のホーガン知事らは、トランプの発言が事実ではないと繰り返し否定している。

米食品医薬品局(FDA)はこれまで41の新たに開発された検査薬に対し、緊急使用許可を与えているが、これらの検査薬の全てが実際に利用可能になっている訳ではない。

ロックフェラー財団はロックフェラー家によって設立された民間の慈善団体で、2018年時点の基金は40億ドル以上にのぼる。1500万ドルという拠出額は、同財団が今年に入り特定のプロジェクトに投じた額としては最大のものになる。

編集=上田裕資

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