米ジョージア州が経済活動再開へ、「早すぎる」との批判も

ブライアン・ケンプ知事(Kevin C. Cox/Getty Images)

米ジョージア州のブライアン・ケンプ知事は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一貫として発動した経済活動の制限を今週末から解除し、一部のビジネスの再開を許可すると宣言した。ジョージア州は全米で最も積極的に、経済活動の再開を目指す州となった。

ケンプ知事によると4月24日以降、ビジネスの再開が許可される業種は、ジムやフィットネスクラブ、ボーリング場、理美容室、ネイルサロン、マッサージ店などという。これらの業種においては、従業員がマスクや手袋を着用し、他人から6フィート(約1.8メートル)の距離を置くことを条件に、事業の再開が許される。

さらに、レストランの店内での食事提供や、映画館の営業も今後の数日間以内に開示される注意事項を厳守することを条件に、4月27日から可能になる。ただし、バーやナイトクラブ、ライブパフォーマンスを行う施設の営業は、引き続き禁止される。

連邦政府は経済活動の再開が許される基準として、各州で14日間に渡り新規の感染者の減少傾向が確認され、ヘルスケアの従事者向けに厳密な検査体制が導入されることを求めている。ケンプ知事は、ジョージア州がこの基準を間もなく達成すると述べている。

しかし、AP通信によると、ジョージア州での新規感染者は減少トレンドが続いているものの、24日時点でその期間は10日間であり、連邦政府の基準には達しないという。

ジョージア州が発令した自宅待機命令は4月30日までとされている。しかし、ケンプ知事は高齢者など感染の脅威を受けやすい人々は少なくとも5月13日まで、自宅に待機するよう求めている。

2018年の州知事選でケンプ知事に敗退した民主党のStacey Abrams議員は、知事の決定が「危険で不適切だ」と述べた。「ジョージア州は感染者数が多く、検査体制も不十分でありながら、低所得者層は命を危険にさらしつつ、生活のために仕事を続けている。地域の病院は閉鎖され、適切な医療が行えない。経済活動の再開なんてとんでもない」と、Abrams議員はツイートした。

ジョージア州が自宅待機命令を発動したのは4月2日で、全米で最も対応が遅かった州として、ケンプ知事は非難を浴びていた。

ホワイトハウスは、経済活動の再開にあたり各州が考慮すべき基準を示してはいるが、最終的な判断は各州の知事に委ねるとしている。テネシー州やサウスキャロライナ州の知事も、4月20日に同様な経済活動再開に向けたプランを明らかにした。

フロリダ州は先週、ジャクソンビルなどの一部のビーチを再オープンした。さらに、最も激しいダメージを受けたニューヨーク州やニュージャージー州、コネチカット州においても、先週末からマリーナやボートヤード、ゴルフ場の営業が許可されている。

公衆衛生の専門家たちは、早すぎるソーシャルディスタンシンング規制の解除は、感染拡大の再発につながりかねないとして警告を発している。

編集=上田裕資

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