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このような真相を世界に伝えたいという台湾の市民の意志が、今回のニューヨーク・タイムズの全面広告へと実を結んだ。広告の掲載に向けて、台湾で英会話のレッスン動画が人気のユーチューバー、レイ・ドゥ(阿滴英文Instagram)や蔡英文の選挙ロゴも手がけたグラフィックデザイナーのアーロン・ニエ(聶永真Instagram)ら5人が発起人となり、台湾のクラウドファンディング「嘖嘖」で資金が募られた。4月14日までに当初目標にしていた400万台湾ドルの5倍近い1900万台湾ドル(約6800万円)超が、2万6000人から集まったという。

またキャンペーンと連動したサイト「#Taiwan can help」には、ニューヨーク・タイムズに広告を出した目的について、以下のように綴られている。

「不当に非難され、孤立しているとしても、資源、技術、経験の共有を通じて、台湾は世界と協力し、パンデミックに向き合おうとしていることを知ってもらいたいです。ニューヨーク・タイムズの全面広告はその最初のステップです。私たちは、集めた資源を世界中の困っているパートナーが利用できるようにします。私たちはWHOのメンバーではないかもしれませんが、世界の一員なのです」

台湾への質問を故意に無視? WHOへの取材動画が物議


WHOが台湾を排除していることについて国際社会からは批判の声が相次いでいるが、台湾のWHO加盟の障壁となっている中国の姿勢は未だ強硬なままだ。中国政府は、台湾を自国の一部であるとする「一つの中国」原則を堅持しており、台湾が他国と外交関係を結ぶことにも強く反対している。

日本の場合は、72年に中国と国交を結んで以来台湾とは断交しているが、安倍首相が4月17日の記者会見で述べたように、WHO総会へのオブザーバー参加については支持を表明している。

アメリカのトランプ大統領が14日の記者会見で、テドロス氏とWHOについて「中国寄りでパンデミックへの対応を誤った」と批判して以降、WHOの「政治的偏向」は世界中で注目の的となっているが、香港の放送局RTHKがWHOのブルース・アイルワード事務局長補佐に行なったインタビューは、WHOの「中国寄り」が顕著に示される好例だ。



3月の半ばに行われたこのインタビューの中で、香港の記者が「WHOは台湾の加盟を再検討するか」と質問すると、アイルワード事務局長補佐はしばらく沈黙した後、「質問の声が聞こえなかった」と発言。「もう一度質問を繰り返します」という記者を遮り、次の質問に移るよう促した。

記者が再度、台湾について話を聞きたいとお願いすると、アイルワード事務局長補佐は電話を切ってしまったように見える。再び電話をかけ直し、改めて台湾の新型ウイルス対策についてコメントを求めると、彼は「中国についてはもう話したじゃないですか」と返答。この発言は、台湾は中国の一部だと主張する、中国側の姿勢を反映したものとみられている。

これについて台湾の外相にあたるジョセフ・ウー外交部長はTwitter上で「なんと、WHOでは『台湾』と言葉を口に出すことすらできないのですか? 今は政治的なことは脇に置いてパンデミックに対処すべきです」と批判。WHOと台湾のあいだにある「壁」を如実に表した出来事であった。

文=渡邊雄介

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