惜しげもなく──。三ツ星シェフはなぜレシピを無料公開したのか?

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料理好きな人が、憧れのレストランのシェフと直接チャットしながらつくってみたり、料理をしない人でもこうしたシェフたちの料理動画を見ながらワインでも開けて、いつか食べに行ける日を待ち遠しく思ってみたり……。このわずか2カ月ほどで、こんな楽しい機会がネット上に増えてきて、レストランと客との新しいコミュニケーションや、シェフたちがもたらしてくれる幸福の形が、テクノロジーによって大きく変わってきている気がする。

今、休校で給食に頼れなくなり、在宅勤務になり、家族の3食を家でどうにかこうにか準備しなければならず、毎日奮闘している人はとても多い。外出規制が強まった今後は、そういう人はもっと増えていくだろう。

こういう時に限って、私たちは毎食の料理に対して、「乗り切る」とか「頑張る」といったメンタリティに陥りがちだ。でも、ウイルスがいつ終息するかわからない、先が見えない中で、それでは心身ともに参ってしまう。

確かに食事は生きていく上での生命線だけれど、食べること、食べるものをつくることで欠かせないのは「楽しむ」ことだ。「料理で一番肝心なのは“fun”なのだ」と、世界中の料理人たちも、身をもって今、私たちにネットを通じて教えてくれている。

誰かのために、ではなく、まずは自分の「fun」のために。

だからこそ、「Cook at home」は、自分流でいいと思う。

みんながみんな、同じパッションで料理しなくてもいい。私たちは当たり前の日常を無事過ごすことにさえ必死で、新しいチャレンジなんてできっこない今は、自分流をほんの少しだけ楽しくすることを意識すればいい。自分が楽しくなきゃ、結局のところ続かないから。

クックパッドは、家庭料理をどうつくるか分からず困っている人に、必要な情報を提供する大事なインフラだ。でも、こんな非常時だからこそ、そのインフラの役割に甘んじることなく、いろいろな人たちの「自分流」に、「fun」という価値を添えられる存在でありたい。

連載:それ、「食」で解決できます!
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文=小竹貴子 構成=加藤紀子

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