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Q:感染・重症化リスク、そして新型コロナの今後の見通しは?


がん患者にとって感染は最も重要な問題だ。

・大須賀
がん患者さんが新型コロナにかかりやすいのかは、まだはっきりとわかっていません。新型コロナの流行が始まってまだ4カ月程度なので、十分な科学的データが出揃っていません。しかし、一部のがんの患者は治療の影響で、免疫の低下が起こって、新型コロナ以外の感染症に罹患しやすい状態になることはすでにわかっています。そのため、新型コロナに対しても、感染のリスクが高いことが推察されます。特に、免疫系に影響を及ぼす可能性のある抗がん剤治療中の方や、血液腫瘍の方などは、そのリスクが高いと言えるでしょう。

がんの治療は種類が多く、症状も多彩ですので、自分のリスクが高いかについては、主治医によく伺ってもらいたいと思います。また、がん患者さんは検査や治療のために、病院受診する機会が一般の人よりも多いため、通院に伴う公共機関利用や、病院での新型コロナ患者さんとの接触などの機会が高い可能性があって、その受診に伴うリスク増加も考えられ、注意が必要です。出来るだけ、受診する回数を減らせないかと、医師と相談をしてもらいたいです。

・上野
リスクの判断は難しいところです。実際に免疫の低下度を測定できる正確な検査はありません。例えば幹細胞同種移植をしている私の場合は風邪をひくと治るのに40日くらいかかる。どう見ても風邪の治り方が違うなということは、これまで感染症に自分がどういう反応をしたかによってバロメータになります。がん=感染リスクが高い、というより自分がこれまでの感染症にどう反応したかが高い低いのパラメータになるという、考え方もあると理解してもらいたいですね。

・勝俣
がん患者が新型コロナにかかった時の重症化のリスクはまだデータ少ないのですが、中国からの最新の報告では、重症化するリスクがやや高い傾向にあります。ただ恐怖心を抱くほどではないということ。全体の致死率は3.8%に対して、がん患者の致死率が7.6%で、高血圧患者が8.4%、糖尿病患者が9.2%、心血管系患者は13.2%、80歳以上の高齢者で21.9%であり、がんの患者さんが他の基礎疾患のある患者よりとりわけて高いわけではありません。

・大曲
コロナの収束に関しては、正直分からないというのが多くの見方でしょう。感染者数が増加し続けている今の波が、どこかで落ち着きます。そしてまた波が来る。これを繰り返します。落ち着いた状態になるには半年から2年、寄せては返すの繰り返しで数年という見方が多いです。まず今の波を繰り返すでしょう。半年から2年、寄せては返す波のように。

Q:通院、治療、そして手術の優先順位など、どのようなスタンスを持つべきか。


現在、病床の確保や感染者の増加、機材の不足などの理由から、がんなど大きな病の手術や治療が延期になるケースが増えている。その点に関して専門家はこう見ている。

・大須賀
患者の不安と関心が高い話だと思います。世界のいくつかの国ではがん治療の延期、中止がすでに起きています。それは2つのリスクが主な理由です。まず、がん治療が安全に行えないというリスクです。がん治療は医療資源を多く使います。検査・治療を行う際には、入院を要したり、一時的に人工呼吸器が必要になることもあります。新型コロナ流行に伴う医療資源の枯渇で、その準備が十分に整わない可能性が出て、安全に行える時まで延期するということが行われています。

もう一つは、新型コロナの感染・重症化のリスクをあげる可能性です。病院に行く機会が増えると感染のリスクを上げるし、治療によって免疫抑制がかかると重症化するリスクが上がると想定されます。治療によって得られるベネフィットと、この二つのリスクを比べて、治療延期をするかどうかの判断が行われています。この判断には、高度な医療知識が必要です。延期すべきでない大事な治療もありますので、患者さん個人で判断せずに、必ず主治医と相談してください。

・佐々木
患者さんには、「通院控えるべきか」「定期検診は不要不急か」など多くの迷いがあると思います。まずすべての経過観察が不要不急ではありません。計画されている経過観察は必要です。主治医の先生が伸ばしていいと判断するものはその通りと思っていいでしょう。ただ、今は「患者さんの安心のための通院」と言う意味での通院はいらない。病院に行かれる方は公共交通機関や、人との接触機会が増える。受診の機会をどうコントロールするかがポイントです。

・上野
患者さんの心情からすれば、なぜ延期になるのかという不安や疑問がある。必ず主治医に理由を聞くことが大事です。理由が病院の体制の問題なのか、感染リスクを抑えるためなのか。私のいるアメリカではリソースの問題で延期しているケースもありますが、なぜかというその理由を聞く事で、患者の不安は少しでも和らぐのです。

WEB会議システムの中の登壇者たちの様子
あふれる質問に明快な回答を示すスペシャリスト。最前線の知見は当事者たちの不安を瓦解させる

文=坂元耕二

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