時代遅れの偏見で、重要な役職に就けない女性たち
WSJの調査によると、女性はCレベル(CFO、COOなど、最高責任者レベルの経営幹部)に昇進したとしても、人事や法務といった部門の責任者で終わることが少なくない。もちろん、そうした役職も重要であるのは間違いないが、会社に利益を直接もたらすようなポジションではない。そしてCEOは、会社の損益(PL:Profit and Loss)管理を担うCレベルのなかから選出されるのが通例だ。
女性をそうした役職に置かないことにより、企業は結果的に、経営トップから女性を除外している。こうした排除の仕組みをより強く痛感しているのが、有色人種の女性たちだ。こうした女性たちからは、上司が管理職に昇進するチャンスを与えてくれたとか、社内での処世術を教えてくれたという声が聞かれることはあまりない。
WSJは、面接調査を多数実施。その結果として、企業が女性をいまなお企業損益管理部門やCEOの役職から遠ざけているさまざまな理由(例えばワークライフバランス、ならびに女性やリーダーとしての資質に関する固定観念)を挙げている。
以前に比べれば男性も育児や家事を行うようになったとはいえ、多くの家庭ではいまでも、女性が育児の大半を担っている。それに、企業の意思決定者は、たとえ実際にはそうではなくとも、女性は家庭の都合で男性ほど仕事に注力できないと思いがちだ。
女性のリーダーとしての手腕や、企業損益管理に必要な時間と労力を注ぎ込む能力をめぐって、古い考えが根強く反映されているのだ。そのせいで、さまざまな業界において、「ガラスの天井」が突き破られることなくそのまま残っている。
WSJの調査では、男性が企業損益管理部門とCEOの多数を占めていることが明らかにされている。さらに男性は、自身の専門分野について、同性の部下や同僚に伝授する傾向が高いという。
女性をCEOへと安定して送り込める道筋が企業にない限り、女性がたとえCEOにたどり着いたとしても、それは普通の昇進ではなく、単なる幸運だとみなされてしまうと、調査結果には書かれている。