明快に主張する、新しい都市型コミューター──ホンダ

Honda e

電動化で何をかなえるのか。メーカーの姿勢が明確に表れるのがEVだ。なぜメーカーはEVをつくるのか? サステナブルなクルマ社会のあり方を提示しながら、EVで未来のクルマ社会にどう貢献するつもりでいるのか。ユーザーはメーカーの姿勢を見ている。その厳しいまなざしに耐えうるコンセプトを実現するEVが増えてきた。


HONDA Honda e

プジョーの新型208は、ガソリン、ディーゼル、電気という複数の動力源に対応すべく共通プラットフォーム上でデザインされて、伝統ある208らしい姿を現している。欧州車における、EVであることをプッシュし過ぎないアプローチの流れにある。

かたや、EVが叶える未来のクルマの姿を大胆に強調するのが、このホンダのHonda eだ。

2019年3月のジュネーブモータ―ショーでプロトタイプを公開、そして9月のフランクフルトモーターショーでは工場で作られた量産車を正式に発表、という段階を踏んで世界に披露されたHonda eは、10月には東京モーターショーでも発表された。そのデザインは見ての通り意欲的なもの。

コンパクトな5ドアのハッチバック。全長3894mm×全幅1752mm×全高1512mmのサイズで後輪駆動。全体的に丸みを帯びた、愛くるしいデザインが個性的だ。動力はバッテリーのみ。気になるフル充電での走行距離は約220kmとされている。

市販されている多くのBEV(バッテリー駆動のEV)が、航続距離を300kmから400kmとしているなかで、約220kmとしたHonda eは市街地での走行を中心に割り切った設計となっている。もちろん、30分で約80%の充電も可能なので実用の面で大きな問題とはならないし、この割り切りは新世代のクルマの多様性を促進するものとして、その意欲を評価したい。

そして面白いのは、Honda eが後輪駆動であること。前輪駆動との違いを極めて簡単に説明すると、前輪で操舵と加速を行う前輪駆動と比べて、前輪で操舵し、後輪で加速をする後輪駆動では、ステアリング操作が軽くスムーズな運転ができることにある。これがドライバーにもたらすものは、シンプルに「運転の楽しさ」を味わえること。

走りの楽しさを実現する、使い勝手のいい都市型のコミューター。ホンダが提案するスタイルは明快だ。

Forbes JAPAN|magazine

この記事は 「Forbes JAPAN 2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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